納骨室に入る遺骨は増えることがあっても、減ることはありません。さすがに、骨壺が入り切らなくなったからといって、新しく大きな墓を建てるというわけには、なかなかいかないでしょう。
そこで、一般的によく用いられるのが、古い遺骨を土に還す方法です。最近の墓地では、区画の大小にかかわらず、納骨室のなかの手前の部分が土になっていることが多いので、古い遺骨から順番に骨壺から出して、土に還してあげます。それによって空いたスペースに新しい骨壺を入れれば、遺骨が入り切らなくなるということはありません。
そこで、注目される墓所があります。都内の某石材店によると、「数はまだ少ないのですが、近年、首都圏の霊園では、小さい区画でも、2段カロート(納骨室が上下2つにある設計)にして、多くの骨壺を入れられるようにした墓所が出てきました。昔の大きな墓では2段カロートは珍しくありませんでしたが、中小の墓地では、その手法は用いられてきませんでした。ですが、ここにきて、2段カロートの設計も増えてきました。遺骨が多い場合は、選択肢のひとつです」と話す。
関西では納骨室のなかが土になっていて、納骨の際は骨壺から出して、布にくるんで埋葬する風習の地域もあるようで、早く土に還らせることができます。
ただ、郊外型の墓地なら、都心部にある墓地と同程度の価格で購入できる大きな区画の墓地もあるようですから、遺骨が多い場合は、購入の際によく検討してみた方がいいでしょう。
(山本 生道)