このV軌道を、もう踏み外すわけにはいかない。前走の阪神Cで見事な復活勝利を飾ったスズカフェニックス。その後は栗東でじっくり乗り込まれてきた。
「ドバイ遠征などの選択肢もあったから放牧には出さなかった。休まず調教を続けていたし、仕上がりはいいよ」と込山助手はうなずいた。
その言葉を裏付けるように、20日に行われた1週前追い切りは栗東坂路で800m50秒4の超抜時計をマーク。「間隔はあいているけど、万全の態勢で出走できる」と込山助手は続けた。武豊騎手が騎乗していたとはいえ、これだけのタイムを楽々マークするのだから臨戦態勢は完全に整っている。
しかし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。苦労したのは昨年の秋だ。急仕上げで出走して9着に惨敗したスプリンターズSの後、反動が出てしまい体調が優れない日々が続いた。
だが、そんな中で臨んだマイルCSは豪快な追い込みで3着。「決して状態は良くなかったのに、最後は勝つかと思ったぐらい。底力を感じた」
その勢いで阪神Cを完勝。昨春、高松宮記念を制した当時の輝きを取り戻した。やがて来るこの春の目標はその高松宮記念連覇と安田記念の制覇。そう、最強短距離馬に君臨することだ。
「春のGI、ふたつとも勝つつもりでいく。それぐらい充実しているので、楽しみにしているよ」
昨秋は口の重いことが多かった込山助手が、本来の強気に戻った。まずはこの阪急杯で、その思いが間違いでないことをはっきり証明する。