その後は善戦こそすれど未勝利。4カ月半ぶりだった前走の天皇賞・秋では、JC馬としては屈辱の7番人気まで支持を下げたが、カンパニーの0秒3差2着と好走。GIホースの底力を見せつけた。「勝った馬とは切れ味の差だろう。それでも乗り役さんがうまく乗ってくれたし、最後までウオッカ(3着)を抜かせなかったのが良かったね」と鹿戸雄調教師。
「体が減っていた宝塚記念が積極的な競馬で5着と、内容がまずまずだったし、だいぶ走る気が戻ってきた感触があった。前走は久々といっても乗り込んでいたし、馬体も増えていた。ピリッとさせるために、中間から着けたブリンカーも効いたみたい」
前走後も順調そのもの。レース直後はプール調整で疲労回復に努め、翌週から馬場入りを再開した。18日に行われた1週前の追い切りではエムオーハンズとの併せ馬。美浦坂路で800メートル54秒8→39秒9→12秒3(馬なり)をマークし、併入した。
「後ろから追いかけて終いが12秒台。楽に走っていたし、いいんじゃないかな。疲れもそれほどなかったし、1度使って馬がシャキッとしてきた。去年が本当に絶好調といえるデキ。そこまではいっていないが、近づいているよ」。同師は愛馬の状態の良さに目を細めていた。
日本馬の中で有力視されているウオッカ、オウケブルースリには昨年のJC、今秋の天皇賞と2度に渡って先着しており、ダービー馬ロジユニヴァースは休み明け。連覇に視界は良好といえそうだが、指揮官は気を引き締める。
「今までどの馬もやっていないんだから、それだけ難しいということ。人間がそんなに力を入れないで、普段通りにやることをやるだけだよ」
かつてテイエムオペラオーもゼンノロブロイも阻まれた夢の偉業を達成したとき、文字通り、日本競馬のヒーローが誕生する。