今回の引退騒動の発端は一部報道で、打撃不振で2軍落ちしたことに心身の限界を感じ、仁志が21日、球団側に今季限りで引退するという意向を伝えたというもの。
だが、仁志本人はこの日、横須賀市のベイスターズ球場で報道陣に対し「報道先行。今はそこまで考えていない」とキッパリ否定。「球団からいらないと言われれば仕方ないが、必要ということなので」と再調整に励む意思を示した。
19日に仁志と話をしたという大矢監督も「仁志らしい勝負強さとか粘り強さが試合でできていないから、(2軍で)やり直したらどうだ」と伝えたところ、仁志も了承したという。
仁志の引退報道は収束に向かい、安心したと思ったのもつかの間、1軍では、仁志が抜けたことで新たな“頭痛の種”を抱えることになった。
大矢監督は仁志が1軍復帰するまでの二塁手について「相手ピッチャーが左か右かによっても替えたりする。わからない」と新たな二塁手育成に試行錯誤していく考えを明らかにした。
現在は、ルーキーの山崎憲晴や5年目の藤田一也らを交代で起用している。それだけに「ベンチにいれば、アドバイスとか力になってくれる。彼の代わりはいない。今の内野を見てごらんなさい。若手ばかりじゃないか」と自軍の戦力の経験不足を皮肉る一幕もあった。
問題は守備面だけではない。打順も仁志は2番でほぼ固定だったが、山崎、大西宏明、松本啓二朗と固定できずにいる。
この日の広島戦でも9回、赤松真人に勝ち越し本塁打を許し敗戦。早くも借金地獄に陥りつつある。
「(バッティングの)状態が上がってこないことには使えないですし、ファンも納得しないと思う」(大矢監督)と仁志の復帰次期は未定。ベテラン不在の穴は、今後も尾を引くことは間違いなさそうだ。