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「根尾を使う!」与田監督の一存で中日内野陣は全コンバートへ

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ナゴヤドーム

 スーパースターの育成は難しい。それも、プロ入り前から素質を認められた高卒新人となると、周囲からの軋轢も考えなければならないようだ。

 「二塁(の守備)にも挑戦してほしい」中日ドラゴンズの指揮官となった与田剛監督(52)が取材陣とのやり取りの中で、そう発した。昨年の新人王で、2季連続で規定打席に到達した遊撃手の京田陽太(24)に対するコンバートを示唆したのだ。

 与田監督の発言は今秋のドラフト1位・根尾昂(18=大阪桐蔭)に関する質疑の中で出たもの。11月4日、12球団最速となる仮契約を済ませた大物新人は、「プロではショート一本で勝負したい!」と訴えた。だが、中日には正遊撃手・京田がいる。“守備位置が重複すること”は分かったうえでの根尾指名であったが、早速、その根尾と京田の両方を生かす難しさに直面したのだ。

 「プロ野球界で一流スターになる選手の大半は、ルーキーイヤーから試合に出ています。中日も球界を代表する選手に育てるつもりで根尾を指名しましたが…」(スポーツ紙記者)

 根尾をショートで起用すれば、1988年の立浪和義以来となる。そういったファンの期待も分からなくはない。
「根尾の守備の広さ、肩の強さは甲子園大会で立証済み」(前出・同)

 しかし、その根尾をショートで使うとなれば、現・正遊撃手の京田を引っ込めるか、どこかにコンバートしなければならなくなる。与田発言は決定ではなく、根尾、京田を起用するための選択肢を広げるための“仮提案”だが、京田を二塁に動かすとなれば、他選手にも影響が出る。二塁には今季好成績を残した高橋周平がいる。高橋は好打のスラッガーであり、ベンチスタートではもったいない逸材だ。その高橋も生かすとなれば、三塁コンバートも考えられるが、三塁には福田永将がいる。福田には一発の魅力がある。一塁には首位打者・ビシエドがいる。根尾を一年目から起用するとなると、“犠牲者”が出るというわけだ。

 関西地区を担当し、根尾を高評価していた在京球団のスカウトがこう言う。
 「プロの世界でショートのレギュラーを狙うのなら、根尾クンはもうワンランク上を目指さないといけません。グラブの使い方に柔らかさがないんだよね、まだ…。現時点では京田のほうが明らかに上」
 中日スカウトも現時点では「京田のほうが上」と見ているだろう。

 「守備面での至らなさも覚悟してショートを使うか、それとも、別のポジションで使うか。あるいは、一年目は代打や途中出場で経験を積ませるのか、その選択は与田監督次第ですよ。岡田彰布氏が阪神監督だった04年、新人の鳥谷敬を育てるため、前年の正遊撃手だった藤本をセカンドにコンバートし、ショートで使い続けました。失策による失点が増えるのも覚悟のうえでした。その鳥谷の今日があるのは、岡田氏がブレなかったこと。使うと決めたら、途中で方針を変えなないこと。その覚悟は並大抵ではありません」(プロ野球解説者)

 高卒の根尾がショートを守れば、京田とのレベルの違いが出る。ミスが生じれば、ムッとした表情で睨み付ける投手も出るだろう。投手を宥め、ベンチの雰囲気も悪化させない努力をしていかなければならないのだ。

 与田監督にその覚悟があっての「京田の二塁コンバート」発言だったのか否かは分からない。いずれにせよ、中日の内野陣は“総シャッフル”となる可能性も高い。

 根尾は特別視されてのチーム合流となりそうだ。ごく普通に、自然な形でチームに合流できたら…。その意味では、与田監督は軽率な発言をしてしまったようだ。(スポーツライター・飯山満)

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