10月3には東京・両国国技館で引退相撲を行ない、今では母国モンゴルに拠点を移した。現役時代は数々のトラブルを起こし、力士ながら、常に芸能レポーターから追われていた朝青龍は、まさに“ワイドショーの帝王”といえた。ワイドショー側からすれば、朝青龍は話題をつくってくれる“お得意様”であったのだ。
そんな朝青龍も、今回ばかりは海老蔵に完敗した。
12月8日、朝青龍にはふたつの動きがあった。
まず、引退の原因となった今年1月の知人男性への暴行事件。東京地検は、傷害容疑で書類送検された朝青龍を不起訴(起訴猶予)とした。不起訴の理由としては、「偶発的行為で、示談も成立している。さらに、相撲界から引退するなど、社会的責任を取っている」ため。
もうひとつが、飲食店とのトラブル。朝青龍のしこ名を関したちゃんこ料理店を都内で運営する「スモウ・ゾーン」や代表者らに対して、店舗展開の業務提携で契約違反があったとして、元横綱が1100万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴していたことが、8日に明らかになった。訴状によると、朝青龍とスモウ社などは、08年12月にしこ名を利用して、世界各国でちゃんこ料理店を店舗展開する業務提携を締結。契約内容ではまず、国技館近くで1号店を開き、09年7月までに海外1号店を出すことになっていたが、海外出店は実現しておらず、違約金の500万円も未払いだと主張している。同日の第1回口頭弁論でスモウ社などは争う意向を示した。
ふたつも動きがあれば、通常なら、ワイドショーで恰好のネタにさせるところだが、8日は前日に海老蔵が会見したとあって、相変わらず海老蔵一色。朝青龍は話題にもならず。幸か不幸か、朝青龍は海老蔵に完敗した。
(ジャーナリスト/落合一郎)