雑草のように、踏まれても倒れても立ち上がるファイティングスピリッツが多くのファンの共感を呼ぶ。道営競馬の星、コスモバルクのことである。打倒ディープインパクトと、悲願の国内GI制覇を合言葉に18日、美浦で追い切りを行った。
美浦に入厩したのは15日。今回が5回目の美浦入りとあってまさに泰然自若。長旅の疲れも見せず、早速、厩舎運動をする姿は悠然としていて、風格さえ感じられる。ビッグレッドファームの認定厩務員・榎並さんに「相手にとって不足はないですね」と水を向けると、「不足はないけど、向こう(ディープインパクト陣営)は何と言うか…」。最後は言葉を濁したが、笑顔の中に決意をみて取ることができた。
宿敵ディープの前に4着と後塵を拝したジャパンCは、10kg増と太め残りが響いたもの。「調教パターンを変えて試行錯誤しながらやっているが、直前のケイコが軽かった」と反省を口にする榎並さん。JCでの敗戦を教訓にこん身の仕上げで臨む。
その言葉通り、今朝の追い切りでは榎並さんを背に、Wコースで5F64秒6→49秒9→36秒8→12秒4。前半は引っ掛かる素振りを見せたが、すぐになだめられ、道中は絶妙なラップを刻んだ。直線で一杯に追われると抜群の反応。軽快な脚さばき、素軽い身のこなしを披露した。前走の敗因にもなった太め残りについても、榎並さんは「前日は520kgくらいだったが、追い切り後の計測で518kg。木曜にも追う話があったけど、これならあとは運動だけで大丈夫」と満足げな表情。愛馬のコンディションに太鼓判を押した。
攻守ところをかえ、コスモバルクには追い風が吹いている。中山は弥生賞、セントライト記念の2重賞(皐月賞2着)を勝っているゲンのいいコース。「左回りは内にモタれる癖がある。右回りの方がスムーズに走れる」と強調する榎並さん。万全の出走態勢が完全に整い、好走条件もそろったここを先途と、必死の闘いを挑む。
JCは0秒6差、天皇賞・秋が0秒3差(4着)。この着差なら巻き返しは十分可能だろう。悲願の国内GIを目指すコスモバルクに、千載一遇のチャンスがめぐってきた。