同企画では、亡くなった人の幽霊が現れる従来のような怪談話などではなく、“SNSをめぐる怪談”や“ほっこりする怪談”など新しい切り口のエピソードを持つ語り手を集めた。久樂氏は、怪談というよりも都市伝説・オカルトに近い“異世界ネタ”で、エレベーターを使って異世界に行くというものだった。久樂氏が言うには、10階以上のビルのエレベーターに乗り、誰とも話さず「4階→2階→6階→2階→10階→5階」と移動すると、この世にはいないような女性が乗って来るという。この女性とも話をせず、1階を押すとなぜかエレベーターは10階に向かう。フロアに到着して扉が開くと、異世界につながっている……など、ネットを中心に流行した話を土台に話している。
久樂氏によると、前述した異世界に行く方法を本当に試した男性サラリーマンがいるという。新宿の高層ビルに勤めるその男性は、人気の少ない日曜を狙ってエレベーターに乗り込んだ。順当に誰とも話さずエレベーターを移動し、5階の扉が開くと女性が乗り込んで来た。しかし、それはよく見ると会社の同僚の女性だった。
「あれ?休日出勤?」などと雑談が始まったため、男性は緊張感が解けて一気に日常モードに。帰ろうと1階を押そうとすると、女性が「ごめんごめん、10階に用があるんだ」と10階のボタンを押す。そこから一切無言になったという。男性は怖くなって9階のボタンを押し、すぐに扉から逃げ出る。背後で扉が閉まる瞬間、“チッ”と女性の舌打ちが聞こえたかと思うと、そのままエレベーターは上昇していったという。
翌日の昼休み、男性が同僚の女性と顔を合わせ「昨日、お疲れ様」と挨拶するも女性は何のことかピンとこない表情だった。それからエレベーターの件ついて一言も話しておらず、日曜に会ったのが同僚の女性だったのか、異世界の人なのかはいまだに不明だという。
番組に出演していたホラー作家の岩井志麻子は、この話に「こういうのって幽霊より怖い」「いかようにも解釈できる(怖さがある)」などと率直な感想を吐露。二宮も驚きの表情を見せた。
久樂氏は、『FedMUSIC』というバンドのボーカル、ギタリストとして、ROCK IN JAPAN FESTIVALやRISING SUN ROCK FESTIVALなど多数のフェスやイベントに出演。現在では、ソロプロジェクト「Logeq」でアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中でライブ活動や楽曲をリリースしており、同時に作詞作曲家・音楽プロデューサーとしても活動。アーティストやアイドル、CM音楽など幅広いジャンルで楽曲も提供している。その中、友人のミュージシャンから誘いを受けて、幼少時代から好きだったというオカルト・都市伝説の語り手としてイベントを開くようになった。
数々のオカルト・都市伝説を知る久樂氏。この他にも“アップデート怪談”がないか本人に尋ねたところ、「9.11のアメリカ同時多発テロは、世界貿易センタービルに莫大な保険金が掛けられた詐欺だったという話がある」と、とっておきの話を語ってくれた。
当時の映像を見ると、「旅客機がビルに衝突してビルが崩れる前から、ビルの真ん中あたりから煙が立っている」そうで、その不自然さを指摘する人も多いとのこと。都市伝説好きの中では「アメリカがイラクを攻めるための理由を作り、ビルの莫大な保険金を得ることを目的に、意図的に爆破された可能性も高い」と噂されているそうだ。
また、本業であるミュージシャンらしく“音楽業界の利権”に関わる裏話など、興味深いエピソードも語ってくれた。
今月13日には、同じく『ニノさん』に出演して怪談を語ったthe band apartのボーカル原昌和氏、half-lifeのボーカル上里洋志氏との怪談イベント『モルタルレコードpresents〜下北沢怪談〜バンドマン怪談大会』が予定されている。イベントが“下北沢shelter”という老舗のライブハウスで開かれるのも興味深い。
今年の夏は、怪談師やお笑い芸人だけでなく、ミュージシャンによる怪談やオカルト関連のイベントが盛り上がりを見せそうだ。