6月にロンドン五輪出場を期し、7年ぶり3度目の復帰を果たした美憂は、12月22日、女子48キロ級にエントリー。しかし、7年のブランクは大きく、2回戦で登坂絵莉(愛知・至学館高)に判定負けした。美憂は「半年しかないなかで、ここまで戻ってこれた。半年でやめるのはもったいない。一から練習して、また世界のチャンピオンになる」と、現役続行を宣言。
一方、聖子は23日、女子63キロ級に出場。準決勝で五輪金メダリストの伊調馨(27=ALSOK)に判定で敗退。2人とも、五輪への道が途絶えた。聖子は「今すぐ結論を出すことはできない」と進退については明言を避けた。美憂は「一緒に海外の大会に行ったこともない。いつか一緒に行けたら」と、聖子の現役続行を促した。
美憂は世界を3度、全日本を8度制した“元祖・女子レスリングの女王”。聖子も世界を4度、全日本を2度制した実力者だが、ブランクと年齢的な衰えは、いかんともしがたかっかようだ。
08年の北京五輪に向けては、美憂の弟で、聖子の兄の山本“KID”徳郁(34)が、プロ格闘家活動を休止して挑んだが、試合中に右ヒジを脱臼し断念した。アテネ五輪(04年)以降、ファミリー3人が代わる代わる五輪にチャレンジしたが、ことごとく夢は砕け散った。72年ミュンヘン五輪代表の父・山本郁栄氏(66)は、「まだ次がある。いつか家族から五輪選手を出したい。それまで指導者はやめられない」と、ネバーギブアップの姿勢を崩さなかった。
なお、女子72キロ級の浜口京子(33=ジャパンビレッジ)はV15を達成し、来春のアジア予選にロンドン五輪出場への夢をつないだ。04年アテネ、08年北京五輪で連覇を果たした55キロ級の吉田沙保里(29=ALSOK)と、63キロ級の伊調馨は、ともに優勝し、3大会連続の五輪出場を決めた。
(落合一郎)