私に強烈な印象を植え付けてくれた薬師丸だが、1980年に2作目の出演となる映画『翔んだカップル』に主演をし、81年には映画『セーラー服と機関銃』に主演することになり、しかもこれまで女優一本だった薬師丸は、歌手として『セーラー服と機関銃』の主題歌を歌うことになった。
これまで映画のみだったことで、薬師丸を生で見ることは不可能に近かったが、歌うことによって、ようやく公の場に出演することになったのだ。その手始めとして新宿のALTAで主題歌発表イベントが行われるということで、さっそく出向いてみたのだが、新宿駅前の広場には人人人。まるで通勤ラッシュの満員電車のような混雑だった。近くに寄ることなんて到底できなくて、セーラー服を着ている薬師丸を遠目で確認することしかできなかった。それでも生で観れた喜びはハンパでは無かった。
その後にシングル『セーラー服と機関銃』が発売され、『ザ・ベストテン』(TBS系)に出演することがわかり、TBSに行って出待ちをすることにした。この日は私と同じ考えだった人も多くいて、TBSの玄関前は異常なほど人がいて、出待ちとしては厳しい現状になっていた。番組が終了してしばらくすると、ようやく出てきたのだが、ひとりで来ている私は、その人波に飲まれてしまい、近くに寄る事すらできなかった。そこで大声で「ひろ子ちゃ〜ん」って叫ぶのが精一杯だった。また次があると思ってこの日は諦めて帰ったのだが、次の週以降は薬師丸が番組に出演することも無く、出待ちで会う夢は叶わないまま終わってしまった。
薬師丸とは縁の無いまま終わってしまうのではと思っていたが、数年後に映画『メイン・テーマ』の舞台挨拶に出演することがわかり、この日はセンター最前列で観ることができた。映画を観るには厳しい座席だが、誰よりも近い距離で観れるので、そんなことは考えることもなかった。
映画女優である薬師丸を目の前で観れることはすごいことであるが、91年に安全地帯の玉置浩二と結婚することになり、結婚後は映画出演も激減してしまい、メディアに露出することがほとんど無くなってしまった。しかし98年に玉置と離婚。その後は、これまで縁の無かったテレビへと進出して、ドラマを中心に活動するようになっていた。近年は主人公のお母さん役などで出演することが多いが、2013年に放送されたドラマ『あまちゃん』(NHK)で大女優役を演じて、劇中で『潮騒のメモリー』を持ち歌として披露。これがキッカケかどうかわからないが、芸能生活35周年のコンサートを開催し、さらに『紅白歌合戦』にも初出場した。このコンサート以降は毎年のようにコンサートが開催されている。
今年度はすでに終わってしまったが、今こそ薬師丸の歌声を生で聞いてみたいので、来年は観に行ってみたいと思う。そういえば、かつて薬師丸ひろ美というそっくりさんのAV女優がいたことを思い出しました。余談ですね(笑)。来年は絶対行くぞ。
(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)
【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。