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【帰ってきたアイドル親衛隊】パチドルの先駆け!? パチンコ台にもなった小林千絵

 1980年代はアイドルブームと言われていて、小泉今日子や中森明菜・早見優・松本伊代・堀ちえみ・シブがき隊などがデビューした82年がすごいと注目されて、花の82年組と呼ばれるようになり、今でも伝説となっている。この年は大豊作と言われ多くのスターが輩出された年として注目されたが、翌83年は前年度に比べ、かなり厳しい状況になってしまった。ちなみに、83年にデビューしたのは、THE GOOD BYE、伊藤麻衣子、岩井小百合、松本明子、森尾由美、大沢逸美などがいる。名前的には知られている人が多いかもしれないが、アイドル歌手として大きなヒット曲を出した人がほとんどいない年になってしまった。

 そんな83年デビュー組で、今回注目したいのが小林千絵である。多くの人が「小林千絵って誰?」って思うでしょう。小林は『第1回西城秀樹の妹コンテスト』に出場し、そこで準優勝(優勝は河合奈保子)となった。その後『ヤマハボーカルオーディション』でグランプリを獲得して、83年3月21日に『いつも片想い』でようやくデビューすることになった。歌唱力も高くてカワイイ系のアイドルだったこともあり、アイドルファンの間ではデビュー当時から注目度は高かったが、なかなかヒット曲には恵まれなかった。

 84年5月に大きな転機が訪れた。明治乳業(現・明治)の『シェイク29』という飲料水のCM出演、そのCMソングとして、5枚目のシングル『ちぐはぐキッス』が起用されたのだ。しかもCMは当時の巨人軍のスターだった原辰徳との共演というスターのキッカケを掴みつつある時期を迎えた。

 このタイミングで私は小林と初遭遇をすることになった。『国際スポーツフェア』という代々木体育館を中心とした場所で、スポーツの祭典が行われていた時に、明治乳業のブースで小林が商品アピールをしていたのである。そこで足を止めて小林のことをじっくり観ることができた。最後には『ちぐはぐキッス』を歌ってくれた。そこには小林のファンらしき人がほとんどいなかったので、終わってからも小林と話すことができた。何を話したということもなく、他愛も無い話をしていただけだったが、時折出る関西弁が新鮮で、興味をそそられるようになっていった。

 しかし、ターニングポイントとなった『シェイク29』は売れ行きが厳しかったこともあり、商品が浸透する前に販売されなくなってしまい、小林もブレークには至らなかった。それからテレビでもほとんど見かけることも無くなってしまったが、80年代中盤の頃からは、出身の関西の番組を中心に活動するようになっていた。当時はまだ浸透していなかったバラドルみたいな感じで、お笑いのできるアイドルとして人気は上がってきた。しかし、活動は関西が中心だったこともあり、他の地域に住んでいる人には小林の活動は届いていなかったのが現実である。

 90年代に入ると、趣味だったパチンコに関する仕事がメインとなるのだが、パチンコ好きが高じて『フィーバーフルーティー』(SANKYO)という台で小林がキャラクターに採用されて、さらに歌まで収録されていた。今でこそ芸能人のパチンコ台は多くあるが、小林がその先駈けと言えるのかもしれない。巷ではパチドルなんて言われるようになり『パチンコNOW2』(CBC)という番組で司会を担当するようになり、しっかりパチンコファンを取り込んでいった。

 すっかりパチンコ色が強くなってしまった小林だが、30代後半に結婚。2003年には男の子を出産した。現在は歌手活動も再開して、さらに映画の評論などを中心に活動している。歌手としては、来年1月に同期の桑田靖子、木元ゆうこ、徳丸純子と一緒にライブに出演するそうだ。神戸での開催みたいなので、関西地方にお住みの方はぜひ。もしかしたら私もお邪魔するかもしれませんよ。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

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