プロ野球解説者の1人がこの一報をこう分析する。
「一般論として、日本人メジャーリーガーの帰還、ドラフトなどで『近い関係者』というのは、実は本人のことなんですよね。推測ですが、今回もその可能性は高いと思われます」
だとすれば、阪神は『中島獲得』で楽天、DeNAなどを大きく引き離したことになる。
中島とアスレチックスの契約だが、「2年契約で3年目に更新するかどうかの選択権は球団が持つ」というもの。2Aまで降格した32歳を引き止める可能性はゼロであり、他・米球団に新天地を求めるとしても厳しいものとなるだろう。
しかし、阪神は中島を使いこなせるのだろうか。遊撃には、チームの主将も務める鳥谷敬(33)がいる。二塁には同じく米帰りの西岡剛(30)、今季活躍中の上本博紀(28)がいて、三塁には今成亮太(26)、ベテラン・新井貴浩(37)が控えている。一塁にはゴメス、二軍を見渡しても、将来の正遊撃手候補・北條史也(20)がチャンスを待っている。
「新人の陽川尚将(23)を推すOBもいます。陽川は出遅れたが、和製大砲になり得る内野手です。北條、陽川を育てる環境を整えないと…」(プロ野球OB)
プロの世界である以上、競争は避けられないが、戦力のダブつきは芳しくない。まして、阪神は今年の親会社の株主総会で「日本人メジャーリーガーの厚遇」を批判されている。シーズン途中に獲得した建山義紀も“即一軍登板”とはならなかった。
この建山の途中獲得には『2つの新事実』が隠されていた。
「当時、阪神の『本命』は渡辺俊介でした。渡辺は米独立リーグまで落ちましたが、本人はそうした苦労を楽しんでいるというか、日本帰還の意思が全くなかったんです。この先、考えが変わる可能性もありますが、建山獲得のとき、阪神は他球団にはない『日本人メジャーリーガーとの接触ルート』も確保した、と」(球界関係者)
中島、鳥谷、西岡、上本、今成、新井貴、ゴメス、若手の北條…。阪神の内野レギュラー争いは球宴級となりそうだが、中島獲得を進めるには西武時代の実績に相応しい年俸はもちろん、西岡、福留の獲得時に提示された住環境のサポートも約束しなければならないはず。鳥谷と西岡の2人だけでも推定年俸は5億円に到達する。中島にも、「福留孝介(37)の1億5000万円以上」は提示しなければならないだろう。
憶測の域を出ていないが、鳥谷にも米球界挑戦の意向がある。今は封印されているが、阪神渉外が中島獲得を進めたのは“有事”に備えるためかもしれない。