この“歴史的裁判”の裁判員候補者に最初にリストアップされたのは100人。地裁は事前に参加辞退を認めるなどした27人を除く73人に「裁判員等選任手続き期日のお知らせ(呼び出し状)」を発送した。
さらに同封した質問票の回答を踏まえ、裁判員法や辞退政令が規定する要件を満たしているとしてうち18人の呼び出しを取り消した。6人には呼び出し状が届かず、2人が無断欠席。選任手続きに臨んだのは47人で、さらに2人の辞退が認められた。
バックレた2人には裁判員法で「10万円以下の過料」が科せられる。現時点では規定の「正当な理由なく出頭しないとき」に該当するからだ。
しかし、法曹関係者は「10万円を取り立てるのは難しいでしょう。たとえば『連絡もできないほどの急病』などと言い訳したとき、それが事実かどうか何を根拠に判断するか。陪審制度のある米国では、義務を果たしている陪審員を『断る理由も思いつかないほど要領が悪く、クソまじめ』などと陰口をたたく傾向もある。ペナルティーをきっちり回収しないと、遅かれ早かれそういう風潮が出てくるのではないか」と指摘する。
一方、選任手続きに外れた“肩透かし組”には喜びの声があふれた。中野区の自営業男性(65)は「半強制的に候補者となり、裁判所に出てこなければいけないのは抵抗があった。ほっとしている」と制度を批判。
大田区の女性会社員(33)も「初めてだったので不安だった。やってみたいとは思わなかったのでホッとした」と安堵の表情。杉並区に住む50代の男性公務員は「公務員なのでやらないといけないという思いだった。選ばれなかったのは半分残念だ」と話した。「(日当にあたる)5470円を1週間から10日以内に振り込む」と裁判所から説明があったという。ほかに交通費も支給される。