「3月6日のオープン戦で、巨人の高橋(由伸=42)監督がリクエスト制度を初めて試しました。9回には申告制の敬遠も指示しています」(スポーツ紙記者)
試合後、高橋監督は「いいタイミングだったので」と話しており、新ルールを試してみるのが目的だったようだ。オープン戦だったからか、判定が覆っても大きな騒ぎにはならなかった。しかし、ペナントレース本番ではそうはいかないだろう。
「それ以上に心配なのが、野球くじです。テスト的に使ったとはいえ、高橋監督の申し出たリクエスト制度で判定が全て覆っていたら、試合展開も大きく変わっていました。アウトの判定がセーフとなり、そのあとに得点が入るような場面も見られるでしょう。野球くじが導入されたら、くじ購入は感情的になってしまいます」
野球くじの導入に批判的なプロ野球解説者が、そう懸念していた。
「野球くじ」の導入だが、当初の予定通り、2019年となった場合、リクエスト制度は導入2年目。まだ成熟していないと思われるだけに、やはり混乱は生じてしまうかもしれない。2月21日、12球団代表者がその説明を受けるために招集されたときは強い反対は出なかったという。また、3月5日の12球団実行委員会でも「野球くじ」について触れられたが、具体的な議論には至らなかった。現時点では「新たな財源として検討していく」のレベルだが、プロ野球の興行は天候による影響も受けやすい。とくにセ・リーグは4球団が“屋根ナシ球場”のため、「試合中止=払い戻し」となる場合も多い。払い戻しのために生じる経費はどれくらいになるのかも、いまだ計算されていないそうだ。
NPB関係者がこう続ける。
「勝敗を予想するのではなく、サッカーくじのBIGのようなパターンになると思われます。1種類ではなく、2、3種類のくじが導入される方向です。たとえば、12球団計6試合の勝敗予想が書き込まれたものを購入するのが1種類目だとしたら、2種類目はセ・リーグだけ、パ・リーグだけとか…」
リーグ別のくじが販売された場合、屋根ナシ球場を本拠地とする4球団のあるセ・リーグを避ける購入者も出そうだ。
「韓国のプロ野球では、2014年の後半から、映像判定が導入されています。映像判定を求める場面は毎試合起こりません。でも、映像判定により、判定が覆る割合は毎年30%を超えています」(前出・NPB関係者)
30%強も判定が覆るのなら、試合は混乱してしまう。しかも、NPBは独自に高性能カメラを球場に設置するのではなく、テレビ中継用の映像を“借用”するそうだ。これでは、野球くじの購入者は感情的になるだけだ。
「阪神の金本(知憲=49)監督がリクエスト制度について、審判団、NPBに鋭い質問をしています。リクエストは両チームとも1試合2回まで。たとえば、『6−4−3』の併殺プレーそのものに抗議したとき、一度の申請で2つの塁上を確認してくれるのかと質問したら、NPBは答えに窮し、ちょっと考えてから、一方の塁上だけだと返していました」(前出・スポーツ紙記者)
金本監督の質問したケースまでは想定していなかったのだろう。今年のプロ野球中継は、抗議で中断する場面も増えそうだ。