「まあ、条件付きですけどね。球宴明け最初のカードとなる東京ヤクルトとの3連戦に巨人が全勝することが必須となりますが、その間のDeNA、阪神の戦況次第ではマジックナンバーが点灯します。『48』か、『47』が点灯します」(関係者)
お先が見えてしまった以上、ペナントレースはシラケてしまうのは避けられない。もっとも、過去3年、広島も独走状態で優勝しているので、「セ・リーグにはその免疫ができている」との声も聞かれた。
「広島が独走してしまった過去3年、チケットの販売開始を少し早め、販売する期間を長引かせるなどし、対処しました。それに、広島絡みの試合は必ず満員になるので助かりましたが」(ライバル球団スタッフ)
今さらだが、広島にはカープ女子なる“全国区のファン”がついていた。巨人、DeNA、ヤクルト主催のビジターゲームでも、「広島戦を観たい」とする女性ファンが大挙して来た。そのおかげで、「独走=興行赤字」は免れたが、独走するチームが巨人に変わったことで、セ・リーグは営業面で大打撃を受けるかもしれない。
「広島が巨人に対し、猛追撃を見せれば、盛り上がるでしょうね。そんな期待をする声も聞かれました」(前出・同)
しかし、広島はドロ沼の11連敗で前半戦を終了。起死回生となるキーマンを模索している気だろう。7月2日に楽天からトレード獲得した三好をスタメン出場させるなど、緒方孝市監督(50)は打てる手は全て打ってきた。選手個々の能力は高い。それでも負けることはある。ただ、11連敗はあまりにも痛すぎる。緒方監督は「(球宴休みの間に)気持ちを切り換えて」と語っていたが、こんな指摘もある。
「緒方監督は選手を信頼しています。信頼とは、試合に出したら、全ては選手に任せるということ。勝っている時はそれでいいんですが、試合で、味方投手が連打され、劣勢になり掛けている時も、選手に任せっきり。攻撃にしても、緒方監督はサインを出して走者を動かすことはしません」(プロ野球解説者)
だが、このスタイルで3連覇を果たしたのだ。急にサインを出し、組織的な攻撃スタイルに変貌したら、逆に選手が戸惑ってしまうだろう。緒方監督は坂倉、高橋などの若手もテストし始めた。先の三好同様、キーマンを探しているのだろう。
「巨人からFA補償で獲得した長野久義が二軍落ちし、二軍でも打率2割を切っています。球宴明け後の一軍昇格が見送られました」(前出・同)
長野は必死にバットを振り、不振脱出を急いでいる。しかし、その危機感が広まり、「今、チームは本当にヤバイんだな」と二軍選手も妙な緊張感を持ち始めたという。
原辰徳監督も序盤戦は手薄なリリーフ陣を建て直すなど、テストをかねて若手を登用した。野手陣にしても、そうだった。緒方監督と少し違うのは見切りが早かったこと。また、見切った若手に対しても、代走、守備固めなど使い方を変え、見捨てなかった。3度目の監督就任、トータル13季目。経験値の違いということか…。だが、人気の広島が蘇生できなければ、セ・リーグは興行的にも大打撃を被ることになりそうだ。(スポーツライター・飯山満)