映画化は2006年公開のアニメ版を含めてこれが4度目。
今回は単なるリメイクではなく、原作とは大きく設定が違っている。まず一番の違いは、主人公の変更だ。アニメ版でも主人公は原作のヒロイン・芳山和子の姪となっていたが、今度は和子の娘、あかりが主人公。ストーリーも大きく変わっている。
あかりの母、和子は大学で薬学者として働いている。そしてひそかにタイム・リープ(タイムトラベル)できる薬を完成させていたが、交通事故に遭ってしまう。「過去に戻って深町一夫に会わなくては…」と言って昏睡状態になった和子の変わりに、あかりは自分が70年代へタイム・リープ。母の想いを遂げようとする…というもの。
オリジナルストーリーとはいえ、もちろん原作とリンクする要素も。未来人・深町一夫や和子のクラスメイト・浅倉吾朗など原作のキャラも登場する。伏線の張り方がうまく、昭和40年代の雰囲気も出ていて、ラスト感動できるストーリーも出来がよく、主演の仲里依紗の演技もいいと前評判は上々の様子。監督はこれが長編デビューの谷口正晃。主演は、アニメ版でもヒロインの声を演じた仲里依紗。
主題歌は、いきものがかり。原田知世版でヒットした松任谷由美の「時をかける少女」も挿入歌としてカバーする。
「“時かけ”といえば原田知世!」という中年世代も、若い世代もともに楽しめそうで期待できる。
原作が雑誌に発表されたのは1965年。半世紀近くも前だ。それ以来読み継がれ、たびたび映像化されている今作は、もはや完全に日本SF、ジュブナイルの古典と言っていいだろう。原作も時をかける作品だ。
(横浜 六太 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou