とはいえ、増収4社もフジメディアホールディングス(4485億2100万円=同+0.1%)、日本テレビ放送網(2253億3400万円=同+1.1%)、テレビ朝日(1806億9600万円=同+1.8%)、テレビ東京ホールディングス(817億1000万円=同+2.5%)と、ほぼ前年同期並みで、微減のTBSを含め、売上高は全社とも変わらなかった。これは、東日本大震災の影響で春先に落ち込んだ広告収入が持ち直し、BS放送の好調も下支えしたためと思われる。
一方、純利益については、大きく明暗を分けた。5社とも黒字となったが、前年同期対比で増益したのはTBS(120億1900万円=同+570.0%)、フジ(165億9800万円=同+22.2%)、テレビ朝日(64億9800万円=同+1.3%)の3社。6.7倍の大幅増益となったTBSは、横浜ベイスターズの株式譲渡で特別利益を計上したため。フジは放送事業自体においては減収となったが、コスト削減が功を奏し、約2割の増益となった。
逆にテレビ東京(11億9200万円=同-62.7%)は前年同期から大きく減益した。これは、BSジャパンを完全子会社とする過程において、負ののれん発生益16億5400万円を前年度に計上していたため。また、放送事業においては、司会者だった島田紳助さんの電撃引退により、「開運!なんでも鑑定団」の再放送を休止せざるを得なかった点や、ローカル局への売り上げが好調だった番組の終了が番組販売収入に響いた。日本テレビ(150億3800万円=同-10.4%)も、約1割の減益となったが、これは前年度に約30億円の投資事業組合運用益を計上した反動。
なお、12年3月期の通期の売上高は微減のフジを除く4社が増収を予想。5社ともに純利益は黒字を見込んでいる。
(蔵元英二)