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土の団子で御利益の栄珠稲荷神社

 東京都世田谷区三宿の栄珠稲荷神社は、土の団子で御利益があると伝えられている。三宿は東急田園都市線池尻大橋駅と三軒茶屋駅の間、三軒茶屋駅よりの場所にある。

 この辺りはオシャレな住宅地として人気があり、お忍びで芸能人が食事をするような隠れ家スポットも多いとされる。しかし、地域の核となっている道路・玉川通りの上を走る首都高速の高架が視界を遮り、少なくともオシャレな景観ではない。

 栄珠稲荷神社は玉川通りを一歩入った場所にある。小さな神社でマンションなど他の建物と同じ敷地の中にある。神社は敷地の奥まった場所にあり、気付かずに通り過ぎてしまいそうなほどである。石造りの鳥居は大正時代に栄珠教会講社一同が奉納したものである。

 三宿は、水の宿る場所という水宿が地名の由来とされる。隣の地域が池尻であり、水と縁がある土地であるが、日照り続きで作物が育たない時もあった。村人は供え物も出せないほど困窮していた。そのために土で団子を作り、それを栄珠稲荷に奉納し、降雨を祈願した。すると村人の必死の祈りが通じ、雨が降ったという。

 無事に作物を育てられた村人は米で団子を作り、改めて栄珠稲荷に奉納した。このエピソードから栄珠稲荷では、願掛け時に土の団子、成就時に米の団子を供えるようになり、団子稲荷と呼ばれるようになった。

 似たようなエピソードは各地に存在する。子どもが病気になると土の団子を供え、治ると米の団子でお礼参りするなどである。その一つが谷中の笠森稲荷で、童歌「向う横丁のお稲荷さん」では「米の団子か土の団子か」と歌われた。願いが成就した時に正式な供え物の奉納を求める稲荷大明神は、非常に良心的な神様である。
(林田力)

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