「今回は間違いなくディープ(スカイ)中心のレースになる。だからマークは後ろに集まることになる。そうなれば、コイツが逃げ切ってしまうことだってあるぞ!」
前有利の流れを指摘する昆調教師が、警鐘を鳴らした。その視線の先には、円熟期を迎えたローレルゲレイロがいる。
凱旋門賞出走に向け、安田記念→宝塚記念のGI2連勝が必須条件となるディープスカイ。そんな負けられない戦いの中で、大きな壁となって立ちはだかるのが身内のGI馬だ。もっとも、昆師にとっては、ともに手塩にかけて育ててきた管理馬。決してゲレイロを“セカンドドライバー”としては見ていない。
「現在の東京は内で先行馬が残る馬場になっている。前残りが多く、追い込みづらい。その点ではディープより舞台は向いているんじゃないか」とコース的なアドバンテージはむしろ、こちらにあると踏んでいる。
そのゲレイロ、前走の高松宮記念で初のGI制覇を達成したものの、元来、得意とするのは1400〜マイル戦。2007年のNHKマイルCでは2着しているように、東京コースでも実績を残している。
高松宮記念からのぶっつけ本番も予定通り。1週前には栗東坂路で800メートル51秒9の好時計をマークする力強いフットワークを披露している。そして、直前は試行錯誤の末に編み出したベストのパターン、高松宮記念で成功を収めたソフト調教で態勢を整える。
「今回は休み明けになるけど、割引は不要。きっちり仕上げてきた。何より最近は安心してレースを見ていられるし、おそらくノーマークでの逃げは確実。ディープ以上にレースはしやすいよ」
前門のゲレイロ、後門のディープで、年度代表馬ウオッカを挟み打ち。昆厩舎が虎視たんたんとGI親子丼の偉業を狙っている。