そのため、今回の京都では、「お気に入り」を再び探すことにした。そこで、まずは、先の指名嬢と出会った店の目の前まで行ったのですが、なんと、木屋町にある店は開いてない。店自体が亡くなったのか?と思い、周囲のキャバクラの店員に聞いてみた。
「定休日ですよ。この曜日にやっていることもあるけど、基本、やってないようですよ」
定休日に来てしまったのか。つまり、運が悪かったのだ。
「どうしようか。そうだ、この店を教えてくれた友人に電話しよう」
と思い、周囲のキャバクラの勧誘を断り、電話をかけた。すると、系列店を教えてくれた。しかし、なぜか、触手が動かない。そのため、ぶらぶらと歩いていると、コスプレイベントをしていた店を見つける。いろいろ話ができたが、どうにもなぜか、気分が乗ってこない。この夜に求めているのはキャバクラではないのかもしれない。指名嬢を失った私は、もしかすると傷心なのか?
翌日、取材後に、三条のカフェに行った。そこにいることをTwitterでつぶやいた。すると、京都在住の知人のマッサージ嬢K(30代)がそれを見つけたようで、仕事帰りに寄ってみようと思ったようだ、自転車でカフェに向かっていた。そんなことを知らない私は、まさにカフェを出たところで、自転車を押しなら、こちらに向かって挨拶をしている女性を見つけた。
「こんな時間の、こんなところに、知り合いがいるはずではない」
そう思った私は、周囲を見渡すが、その女性に挨拶をしている人が誰一人いない。振り返ると、その女性は私に向かって手を振っている。
「え? わたし?」
よく見ると、そのマッサージ嬢Kではないか。Twitterのつぶやきのおかげで、携帯電話の電話帳に連絡先が入っていない相手と連絡がとれてしまった。びっくりする再会だった。
翌日の夜、そのマッサージ嬢Kと飲むことになった。元同居人の別のマッサージ嬢S(26)も呼び出し、3人で木屋町で飲んでいた。そしてカラオケに行こうという話になり、私の友人T(27)も京都に出張で来ていたことを、これもTwitterで知り、電話をして呼び出し、総勢5人で朝4時まで歌い続けた。
次の日、マッサージ嬢のSが働いている店に行くことにした。忙しかったらしく、30分しか時間がないというので、30分コースをしてもらうことにした。ちょっと触っただけで、どんな生活をしているのか想像していたが、ほとんど当たっていた。食生活の様子も分かってしまった。おそるべし、マッサージ師。
30分でも気持ちよかったが、満足はできなかったために、私はマッサージ店をはしごすることにした。次に行ったのは、頭のマッサージ専門店。気分がよかったので、寝てしまった。そこそこ満足したものの、寝てしまうと、「こんなに早いの?」と思ってしまい、また満足できなかった。
結局、もう一軒、はしごをしようと思った。そこはオイルマッサージだった。オイルマッサージって、本格的なところは少ない。ここもそうなのかもしれない。しかし、マッサージをしrてもらいたい衝動に駆られていたので、入店してしまう。予想外に、とてもうまいマッサージをしてくれて、血液循環もよくなったように感じた。3軒連続でマッサージをしてもらいと、種類や場所も違っていたこともあり、とても満足してしまった。
東京に帰ってきても、なんだか、毎日のようにマッサージ店に通いたい衝動にかられている。
<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。
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