大型右腕・安楽智大投手(済美)、昨夏の甲子園優勝投手の高橋成光投手(前橋育英)は出場しないが、今年のセンバツはドラフト上位指名が予想される逸材も多い。しかし、センバツ大会の会場は甲子園球場である。自軍の本拠地であり、わざわざスケジュール調整させるほどではないと思うが…。
「センバツ大会と『重要事項』の日程が重なるからです」(球界関係者)
阪神二軍が3月に京都大学野球部と練習試合を行う。京都大には田中英祐なる(4年)好投手がいる。彼を一躍有名にしたのは、3年秋のリーグ戦で延長21イニングを1人で投げきってみせた(無失点)。対戦校は優勝争いをしていた立命館大学である。リーグ戦0勝ながら『ベストナイン』にも選ばれ、『関西学生野球連盟』では「ナンバー1右腕」と評するスカウトもいるほどだ。
在京球団スカウトがこう言う。
「関東地区担当のスカウトチームにVTRを見せたことがあります。『東京六大学、首都リーグの投手と比べても見劣りしない』と評価する声もあれば、『様子を見た方が良い』と慎重な者もいました。ただ、全球団が指名候補のリストに名前を入れているのは間違いありません」
この田中が、二軍とは言えプロ相手に登板するとなれば、その力量を確かめるにはこれ以上ない好機である。中村GMがセンバツ視察を中断してでも「見ておきたい」と思うのは当然だろう。
しかも、この練習試合は一般公開されていないが、他球団スカウトの視察は許されている。阪神二軍対京大の視察をすでにスケジュール帳に書き込んだスカウトも少なくないという。
「中村GMは『昨年、一昨年は遠慮していた』と言うんです。何を遠慮していたかというと、GMに就任して間もないので、自分の意見やスカウティング活動を控えていた部分もある、と。担当スカウトの顔を潰さないよう、色々と配慮していたんでしょう。今年は実質3年目なので、遠慮しないで現場(視察)にも出ると意気込んでいました」(前出・関係者)
12年オフは西岡、福留を、13年オフは韓国球界屈指のクローザー・呉昇恒を獲得した。国内FA市場は惨敗だったが、大型補強の仕掛け人は中村GMである。同GMが最重要視したい補強部門はFAではなく、スカウティングということだろうか。