期待が大きかっただけに落胆も大きかった。リトルアマポーラの前走・ヴィクトリアマイルについて、影山助手は苦笑いとともに振り返った。
「デキはすごく良かったし、道中の走りもスムーズだった。なのに、いざ追い出してからが思ったほど伸びてくれなかった。ちぎって勝ったウオッカは別格としても、せめて2着馬(ブラボーデイジー)ぐらいは交わしてほしかった。やっぱり…」
敗因は距離不足。陣営の唯一の不安が的中してしまった。マイル戦は3歳春、相手も楽だったクイーンCで重賞を制しているものの、母の父にステイヤーのコマンダーインチーフが入っており、本来は中距離向きのタイプ。昨年のエリザベス女王杯の強さもそれを裏付ける。
ヴィクトリアマイル、その前のマイラーズCとあとひと伸びできなかったのは、道中のペースが忙しく、見た目以上にお釣りが残っていなかったせいだろう。
その点、巻き返しを期す今回は得意分野の2000メートルだ。当然、陣営も力が入っている。「明らかに条件は良くなっている。ハンデをどれぐらい背負わされるかだけど、それ以外、あまり心配はない」と言い切った。
中間の調整も入念かつ順調だ。栗東坂路とDWを併用して、乗り込みの質も量も申し分ない。とくに7日のDWは終い重点とはいえ、ラスト3F38秒3→11秒8の切れ味を披露した。休み明け3走目。馬体には無駄がなく、毛づやも光っている。ピークのデキに達したとみていい。
「追い切りはやればタイムの出るほうだけど、それにしてもいい動きをしている。何よりここは賞金を加算しておかないと、秋、エリザベス女王杯以降の出走が厳しくなるかもしれない。それだけに、ほしいのは結果。牝馬同士のGIIIなら勝ち負けしてくれないと」
能力だけではない。意欲も他陣営を圧倒している。春の古馬牝馬の頂上決戦としてヴィクトリアマイルが設定されてからレベル低下が著しいこのレース。GIホースの看板はより一層まぶしく映る。