金子は昨季のパ・リーグ最多勝投手であり、岡田彰布監督(53)も開幕投手に指名していた。エースの戦線離脱は大打撃だが、開幕投手の代役を選び間違えた場合、オリックスは大バッシングを浴びることにもなりかねない。
「金子の離脱が決定的になった7日、韓国メディアも岡田監督にコメントを求めています」(現地入りした報道陣の1人)
その際、仮説の質問もされた。一部報道でも紹介されたが、「朴賛浩(38)が抜擢される可能性はあるのか?」というもの。岡田監督は「可能性はある」とは答えたものの、断言はしていない。しかし、韓国メディアは“期待を持たせる論調”を踊らせていた。
<金子の空白を埋める候補は木佐貫洋(31)と朴賛浩だ。岡田監督は朴賛浩を重視している。木佐貫は昨年10勝をマークしたが、エースの風格とは距離があるうえ、09年まで読売に所属するなど、オリックスのフランチャイズスターではないためと解釈される。 数日前まで岡田監督は朴賛浩を第3先発候補に挙げていた。しかし金子が戦力から離脱した以上、‘メジャー出身の朴賛浩’という野心作を開幕投手に出すのもよいと考えたようだ。>
(中央日報/2月8日付より抜粋)
韓国国内でオリックス主催試合が中継されることが決まっている。
オリックスが本拠地『京セラドーム大阪』で最初に公式戦を行うのは、4月1日(対楽天3連戦)。テレビ中継されるこの本拠地3連戦中に朴賛浩を先発させるとなれば、開幕カードの福岡ソフトバンク戦に投げさせておかなければ、『中6日』の先発ローテーションは成り立たない。開幕戦(3月25日)なら、中6日で本拠地初戦の4月1日。開幕2戦目なら本拠地2試合目、同3戦目なら、本拠地3試合目。日程的に考えると、韓国メディアの「朴賛浩が開幕投手に」という見方は間違っていないようだが、こんな情報も交錯している。
「3年目の西(勇輝=20)の仕上がり具合で、開幕投手が決まるんじゃないですか。西はまだプロで1勝も挙げていませんが(昨季18試合登板)、契約更改で600万円から1300万円にアップしたように、フロントも期待している将来のエース候補です」(プロ野球解説者の1人)
岡田監督が予定していた先発投手は、金子、木佐貫、朴賛浩、近藤一樹(27)、横浜からトレード獲得した寺原隼人(27)の4人。中山慎也(28)、山本省吾(32)、伊原正樹(24)たちと、期待の西が『5番手、6番手』を争うと目されていた。
「西の潜在能力は金子たちも認めていました。その西が今年はリリーフではなく、先発枠を争うと聞き、チーム内競争の意識も高まっていました。金子が抜け、西にもチャンスが広がったとも解釈できます。順調に行けば、金子は6月には帰って来れそうだし、それまでの間、西をローテーションに入れて勉強させるのも面白いと思いますよ」(前出・同)
金子不在の間、期待の西がその穴を埋めると読む解説者は少なくなかった。
この将来のエース候補は本拠地・初主催カードの対楽天3連戦で先発させたい。そのためには、『中6日』の先発ローテーションを逆算して、開幕3連戦中のいずれかに投げさせておく必要がある。開幕投手はないとしても、第2戦か、第3戦が濃厚だろう。
また、昨季は序盤戦で好スタートを切ったことにより、チームの気運も高まった。その意味では、開幕カードで連敗はしたくないので、安定感のある木佐貫は外せない。
「開幕カードはソフトバンク戦です。ソフトバンクがもっとも苦手意識を持っているオリックス投手は近藤ですよ(09年まで10勝3敗)。今季はサイドスローから本来のオーバースローに戻し、調子もいい。ソフトバンクも警戒しています。冷静に考えれば、近藤じゃないかな?」(球界関係者)
木佐貫を開幕第2節の北海道日本ハム戦にスライドさせるとしても、移籍加入の寺原が気になる。岡田監督なら、古巣・ソフトバンクとの開幕3連戦にぶつける奇策も考えられる。こうしたチーム事情を加味すると、朴賛浩は開幕投手に選ばれない可能性も高い。
「経営陣が介入してくるとすれば、韓国メディア(テレビ放送)の絡みで朴賛浩でしょう。ただ、朴賛浩は日本の柔らかいマウンドに違和感があるらしく、調整は順調ではない」(前出・球界関係者)
2、3カ月程度とはいえ、エース喪失は大打撃だ。これが阪神ならば、緊急補強に動いていただろう。岡田監督が頭を抱えた理由は、再検討となった開幕投手の人選だけではなかったのかもしれない。