番組は「桂歌丸師匠ありがとうスペシャル」として、歌丸さんの名場面を振り返る内容。三波伸介・五代目三遊亭円楽司会時代の様子から、司会者として現・笑点メンバーと丁々発止のやり取りを繰り広げる様子が放送された。
その後、メンバーによる歌丸さんを偲ぶ大喜利。回答者は悲しみを堪え、『笑点』らしく笑いで追悼。メンバーは思い思いの回答で、歌丸さんを偲ぶ。そして、最後に手を挙げたのが、歌丸さんと長年共演し、罵り合いを演じるなど、公私共に結びつきの深かった三遊亭円楽。
円楽は「歌丸師匠、一緒に回答者だった頃、そして、司会になられても私の悪口を、優しく受け止めてくれて、罵詈雑言にも耐えていただいて、ありがとうございました。最後に一言言わせてください。ジジイ!」と叫ぶ。
ここで会場から笑いが漏れる。死亡ネタで来るのかと思われたが、円楽は涙目になりながら、「早すぎるんだよ」と絶叫。すると、円楽は涙を堪えるような表情を見せる。会場も空気を読んだのか、笑いが静まり、万雷の拍手となった。
そこで、司会の春風亭昇太が気丈に「追悼の大喜利も皆さんにたくさん笑って頂いて、歌丸師匠も喜んでいると思います。81年間の生涯だったのですが、50年以上『笑点』に携わっていただいて。我々もこの後を継いで、頑張って皆さんに楽しい気持ちになって頂けるような放送をしていきたいと思っています。歌丸師匠本当にお疲れ様でした」と〆る。
この間、涙を堪えていた円楽だが、三つ指をついて頭を下げようとすると、ハンカチで目頭を拭う。メンバーも深く頭を下げたまま、全く頭を上げることができない。
そんな中、最も歌丸さんと付き合いの長い林家木久扇は、天に向かって笑顔で手を振り続ける。残念ながら声は聞こえなかったが、口の動きは「おつかれさま、ありがとうございました。ごくろうさま」と叫んでいるように見えた。
そんな円楽の「涙の訴え」と木久扇流の「さよなら」に視聴者も感涙。「良いラストだった」「歌丸さんも喜んでいると思う」「五代目円楽師匠や談志師匠、小円遊と一緒に見て笑っているかも」「笑点は素晴らしい番組。歌丸さんのおかげ」など、天国の歌丸さんに思いを馳せるネットユーザーが続出した。
日本でも随一の長寿番組である『笑点』。初代司会者で創設者の立川談志から前田武彦、三波伸介、五代目三遊亭円楽、そして桂歌丸さんと司会者が相次いで鬼籍に入ってしまったことは残念でならないが、それだけ長く伝統が受け継がれてきたということでもある。
春風亭昇太を始めとする現・笑点メンバーは、最古参の林家木久扇を中心に、その伝統を守り、後世に伝えていく義務があるだろう。歌丸さんの思いを胸に秘め、これからも番組を盛り上げてもらいたい。