が、それは「家飲み」の場合。バーやレストランでコロナを飲むといきなり5ドル以上に跳ね上がる。場所によっては7ドルというところもある。レストランでは絶対にアルコール類を飲まない日本人男性がいたが、その理由は高いから。そこまで節約しなくてもいいのではないかと思っていたが、滞在期間が長くなると外で飲むアルコール類の高さに辟易してくる。かつてはどれだけ飲んでもチップ込みで日本の半分以下で済んだものだ。
そして劇場やクラブなどへの液体持ち込みが難しくなった現在、新手の商売がはびこっている。信じられないほどの高値で飲み物を売るのだ。例えばブロードウェイの劇場の中での販売。以前は座席を回って水を売るなどという商売はなかった。それが、今回「メンフィス」を見た劇場ではデリで買えば1ドルぐらいで買えるボトルドウォーターを何と5ドルで売っていた。さすがにバカ売れとはいかず、1回の販売で2本しか売れていなかったが、場内には(そんな高い金を払うなんてバカバカしい)といった白けた雰囲気が流れていた。
もっと驚いたのがハドソン川観光クルーズ船の中。液体持込はNGというので(中で買えばいいか)と思ったら、何のサービスもない、殺伐としたボートの中でビールが堂々と7ドルで売られている。外に出ればビールが4本買える値段なのだ。チップス、ソーダ、すべて高い。不景気な時代のニューヨークではこうした高値を「リップ・オフ(むしり取り=ボッタクリ)」と呼んで怒ったものだが、好景気が続いた後のニューヨークでは誰1人文句を言わない。
という訳で段々外でアルコールを飲まなくなったが、抜け道があった。それは「ハッピーアワー」。多くのバーやレストランで夕方の早い時間にアルコールを半額にしている。今回足しげく通ったのはダウンタウンの「牛角」のハッピーアワー。日曜日は1日丸々ハッピーアワーなのだ。ハッピーアワー専門のウェブサイトもあるようだ。(セリー真坂)