金メダル16個、銀と銅を合わせたメダル総数は37と、史上最多のメダル獲得となった2004年のアテネ五輪は、スタートダッシュが功を奏した。
開会式翌日の競技初日に、柔道女子48kg級の谷亮子が連覇を決め、柔道男子60kg級の野村忠宏も3連覇を達成。2日目には、北島康介が競泳100m平泳ぎで金メダルを手に「チョ〜気持ちいい」の名言を残し、柔道男子66kg級でも内柴正人が金に輝いた。3日目には体操団体が優勝し、競技開始3日間で5個の金メダルを獲得している。
日本オリンピック委員会(JOC)は、今回の北京五輪でもスタートダッシュを狙い、大会初日に行われる重量挙げ女子48kg級の三宅宏実でメダル第1号を、伝統のある柔道で「ママでも金」の目標を掲げる谷、男子60kg級の平岡拓晃の優勝で勢いに乗る戦略を練っている。上村春樹総監督は「初日の柔道で金を2つ取れれば、水泳、陸上なども続く」ともくろむ。
日本選手団がメダルラッシュを達成するためには、3日目までの金メダル獲得は必要不可欠だが、その可能性は高い。
競技初日の9日は柔道女子のエース、谷が登場する。4月の体重別選手権では、山岸絵美にまさかの敗北。
だが、前哨戦で敗れたことがモチベーションにつながったのか、「充実した気持ちで臨める」と気持ちも新たにした。女子48kg級は、日本国内が最激戦区といわれており、気合の乗った谷を止められる選手は外国勢にはいない。
また、五輪3連覇の野村を抑え、男子60kg級代表の座をつかんだ平岡は、ニューヒーローになれる逸材だ。同階級における日本の4連覇の可能性は高く、前回のアテネ同様に競技初日からの金メダル獲得の公算は大だ。
2日目の10日には、アテネ五輪金メダリストの内柴正人が登場。33歳の最年長で男子の主将も務め、4歳となった息子に「生きざまを見せたい」と意気込んでいる。初日のママ谷に続き、内柴がパパの強さを見せそう。
女子52kg級の中村美里は、谷のいる48kg級を避けたことで減量苦から解放された。平成生まれの19歳にはニューヒロインとなる素質を感じる。
競泳の北島は、3日目に100mで1冠目を目指す。スピード社製水着の着用も認められ、調子の上がらないライバルのハンセンとは正反対に充実一途。日本での200mに続き、世界新記録樹立の可能性さえある。
日本のメダルラッシュの鍵を握るのは、競技1〜3日目に登場する選手たち。彼らが金メダルを獲得し、スタートダッシュを決めれば、メダル獲得数の史上最高記録の更新も見えてくる。
北京五輪の日本選手団は、男子170人、女子169人の合計339人で、海外派遣で史上最多。それだけに、アテネを上回る獲得メダル数が期待され、福田富昭団長も「金は2ケタを目指し、メダル総数もアテネを上回りたい」と意気込む。
また、米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパーズ(PWC)は、6月に「国別メダル獲得数」の予想を発表。日本は6位で34個のメダル獲得と予想されている。
北京の地でも再びメダルラッシュで、表彰台のテッペンに日の丸が掲げられる日々が続くはずだ。