常勝軍団・藤沢和厩舎とマイネル&ビッグレッドFの岡田繁幸氏がコンビを組み、2歳女王戦線に送り込むのがイクスキューズだ。
もともとがビッグレッドFの生産馬だったが、一度売却され、今年5月のトレーニングセールでひと目見た岡田氏がほれ込んで最高価格の3700万円で買い戻したという馬。「差し引きでずいぶん損をしたので、従業員に申し訳ないという気持ちからイクスキューズと名付けた。でも、十分値段に見合う馬だと思う」と岡田氏。その期待通り、福島のデビュー戦で1秒1差の圧勝を飾ると、続くクローバー賞では芝1500m1分29秒3のレコード勝ち、ハイレベルの牡馬がそろっていた札幌2歳Sでも0秒1差(3着)の接戦を演じ、能力の高さを見せつけている。
前哨戦になったファンタジーSではアストンマーチャンに5馬身差(2着)をつけられたが、「極端に時計の速い競馬。気のいい馬だから、外枠で行きたがってしまったしね。最後まであきらめずに走っていたし、力のある馬。内で脚をためる形なら、結果は違ったと思う」と手綱を取った藤田騎手。藤沢和師も「まだ精神的に子供で、わけがわからず走っている感じだからね。それでも一戦ごとに競馬を覚えてきている。素質は間違いなく一級品」という。
1週前の追い切りは芝コースで単走。5F65秒4、上がり3F37秒8→12秒5を馬なりでマークする軽快な動きを披露。「疲れはないし、順調ですね。気分良さそうに走っていたし、いい雰囲気をキープしています」と、葛西助手は体調面に太鼓判を押す。
今回は1F延びて、新装なった阪神コース。直線がフラットな京都と違い、坂が待ち構えており、よりタフさが要求される。
「いろいろな競馬場で結果を出しているので、輸送はまったく問題ない。距離が延びるのは歓迎だし、札幌の1500mでレコード勝ちしているようにパワーとスピードを兼ね備えているから、阪神も大丈夫でしょう」と同助手。
「気性が前向きで根性もある。前半、じっくりためて直線勝負に持ち込めればチャンスはあるはず。来年(桜花賞)のためにもがんばってほしいね」と巻き返しに手応えありの口ぶりだ。
日本のトップホースマン2人が認めた素質馬が真価を発揮する時がきた。