統一協会がなく、各団体の自主性に任されているプロレス界では、その対応が様々。多くの団体が東日本での興行を中止、または延期するなか、19日に興行が再開(※注)。アイスリボンは蕨道場大会、K-DOJOは千葉・Blue Field大会を予定通り開催。余震も続く状況下、震災からまだ8日しか経っていないなかでの興行には賛否両論が渦巻いている。
そんななか、とりわけ注目を集めていたのが、ドラゴンゲート3・20、全日本プロレス3・21の両両国国技館大会。果たして、1万人規模の大会場で、観客の安全を確保できるのか、また交通網の混乱はないのか、不足している電力の問題はないのか等の議論が分かれるところ。
出した両団体の結論はドラゴンゲートが中止、全日本は強行と分かれた。中止したドラゴンゲートは、「観客の安全を100%保障できない」とした。余震が続く状況ではやむを得ない選択。一方の全日本は、「オレたちにはプロレスしか励ます方法がない。試合を通して、きっと心を温かくしてくれるはず」(武藤敬司社長)と開催に踏み切った。
両国規模の興行を中止にすれば、会場のキャンセル料のみならず、すでに販売済みのチケットを払い戻す必要があり、その損害は甚大。下手をすれば、会社が転覆する危険もある。それを承知で観客の安全確保を取ったドラゴンゲートは、まさに勇気ある撤退。
片や全日本だが、しょせんは一企業。会社の経営を考慮すれば、強行するしかなかったであろう。それまた、ひとつの選択であり、外野がとやかくいえるものでもないかもしれない。
かくして、プロレス界は被災地に向けたメッセージを発信すべく、東日本でも動き出した。
※注※3月13日に夢名塾プロモーションが埼玉・越谷ケルベロス大会を開催していますが、興行規模があまりにも小さいため、ここでは除外します。
(ジャーナリスト/落合一郎)