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「那須川天心から学ぶことが多かった」“ヴァンパイアプリンス”白鳥大珠が大金星、決勝進出!

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白鳥大珠(c)RISE

RISE
『RISE WORLD SERIES 2019 Semi Final Round in OSAKA』
▽21日 エディオンアリーナ大阪・第1競技場 観衆 5,850人(超満員札止め)

 「ヴァンパイアプリンスですから、血を見て燃えたんじゃないですか」

 試合後、TEAM TEPPENの那須川弘幸会長は、-61kg世界トーナメント優勝候補筆頭だったセクサン・オー・クワンムアン(タイ)から大金星を挙げた白鳥大珠(TEAM TEPPEN)について、うれしそうな表情でこのように語った。白鳥はこれまで“キック界の王子様”や“ザ・プリンス”というコピーが付けられていたが、この日のテーマは“ヴァンパイアプリンス”。コスチュームを意識したのはもちろんのこと、マウスピースも牙が生えたヴァンパイアのものを使い、セクサンとのトーナメント準決勝に臨んだ。

 「やっと倒すイメージができた」

 試合の約1週間前にセクサン戦のイメージをようやくつかむことができたという白鳥は、「バリエーションを増やす」という予告通り、練習で自信を深めたボディだけでなく、アッパーやフックなど頭部も含めたバリエーション豊かなパンチで試合を優位に進めていく。

 1Rを白鳥優勢のまま終えると2R、セクサンの頭が白鳥の眉の上あたりにバッティングし、出血するハプニング。「血を見て燃えた」というのは、試合を再開してからだ。打ち合いから右フックがヒットし、セクサンがダウン。まさかの展開に白鳥への歓声が増していく。白鳥のコンビネーションにセクサンはアップアップのまま2Rは終了。3R、冒頭から手に汗握る攻防が続くが、白鳥が左フックで2度目のダウンを奪うと、ここからセクサンの猛攻がすさまじかった。優勝候補筆頭としての意地を感じたが、時すでに遅し。白鳥が3-0の判定勝ちを収め、9.16千葉・幕張メッセ・イベントホール大会での決勝進出を決めている。

 準決勝のもう1カードは優勝候補の一人、梅野源治(PHOENIX)がこの日、チャンヒョン・リー(韓国)に判定勝ちを収め、決勝は日本人対決になった。白鳥も「梅野さんしかいないと思っていた」という。

 試合後、白鳥は「今回は負けてもいいから、最後まで倒そうという気持ちでした。(那須川)天心が身近で練習しているのを見ていると、学ぶことが多かった。試合は1Rがキーポイント。2Rは倒し切らなきゃダメ。でも終わってから解放感がありましたし、RISEルールとはいえセクサンという強い選手に勝てたことはいい経験になりました」と、今年自身のベストバウトとなったこの試合を振り返っていた。天心は「ダウンしなければ白鳥君は勝てる」と断言していたが、その言葉通りの結果になった。

 「大珠はこれで“復活”ですよ。本来の彼に戻った。(天心と)ダブルで優勝します!」

 那須川会長は、天心と白鳥のダブル優勝宣言。会長の「復活」という言葉を伝え聞いた白鳥は「今年は不甲斐ない試合が続いて会長に怒られてばかりだったので、ほめられるとやっぱりうれしいですね」と笑顔。これまでのキャリアの中で最強のセクサンに勝ったことで、次は日本人とあまり対戦しない梅野との決勝が待っている。「(梅野戦は)盛り上がるんじゃないですか。戻ったらすぐに練習をして、優勝します」ーー。“ヴァンパイアプリンス”は、世界一に王手をかけた。

取材・文 / どら増田
写真提供 / ©︎RISE

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