『RIZIN.16』
▽2日 兵庫・神戸ワールド記念ホール 観衆 8,107人
“神童”那須川天心が、関西初進出の総合格闘技イベントRIZINを見事に締めてみせた。
直前に対戦相手が敵前逃亡し、マーティン・ブランコ(アルゼンチン)に相手が変更されるアクシデントが起こった。天心の父である那須川弘幸氏によると天心陣営がブランコの映像を見たのは試合直前で、全く対策は立ててこなかったという。
試合は1R、天心がブランコの動きを見ながらプレッシャーをかける形で優位に立つと、2Rでブランコの右眉周辺をカットさせた。ほどなくして左フックから左ミドルが決まりダウンを奪う。天心は立ち上がったブランコに「盛り上がると思って出しました」とドロップキックをヒットさせると、コンビネーションからダウンを続けて奪い2R2分19秒KO勝ちを収め、ISKA世界フェザー級王座を獲得。RISEバンタム級、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級に続いて三冠となった。
今回の試合はユニファイドルールで行われたが、ISKAは今後、5種類に分かれているルールをユニファイドルールに統一する方針とのこと。今後はRIZINのリングでユニファイドルールによる防衛戦が行われることになりそうだ。
今回が関西初上陸となった天心は、関西のファンの歓迎ムードがうれしかったようで「関西の格闘技が盛り上がっているのは分かりました」と目を輝かせた。RISE7.21エディオンアリーナ大阪大会で行われる世界トーナメント準決勝についても「モチベーションが上がってきた」という。このトーナメントを制した先には「世界進出」を見据えている。「日本で世界一と言ってても説得力がないですから。オファーがあれはどこでも!」と、日本のキックボクシングや格闘技を世界に広める気持ちに変わりはない。
RIZINの榊原信行実行委員長は「スケジュールが合えばウチは後押ししていきたい」とし、「天心のチャレンジにも期待したい」とキックボクシングにこだわらないスタイルの試合にも期待を寄せた。
今大会のテレビ中継は、休憩明けの3試合をフル尺で生中継し、他の試合は放送しないという新たなチャレンジを試みた。「実は今ネットで大炎上してるんです」と続けて、「実は2Rにブランコのカットでドクターチェックが入ったとき、CMに行ったらチェックが思ったより早く終わったため、最初のダウンを生中継でお見せできなかった。どこかでCMは入れなきゃいけないのですが、今後はこのようなことが起こらないように、フジテレビさんとも話していきたい。生中継を見ていた方には申し訳なかった」と謝罪した。
フジテレビとはドクターチェックなど、いくつかCMを入れるタイミングを事前に取り決めていたようだが、これは「地上波のスポーツ中継の命題」なのかもしれない。幸い試合後に天心が放送席に座って、自身の試合を振り返ることができただけでも良かったのではないだろうか。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎RIZIN FF