全日プロの“次世代のエース”諏訪魔が新時代の扉をこじ開けた。
春の祭典チャンピオン・カーニバルを制覇し、健介との頂上対決を実現させた諏訪魔。シリーズ開幕前には母校・中央大学のレスリング部で特訓を敢行。3冠奪取に向け、通常の3倍の練習量を行って自らを追い込んだ。
そして迎えた決戦のリング。試合は30分に及ぶ激闘となった。
序盤から王者の洗礼を浴びた。ヘッドロックで捕獲されると、健介はスッポンのように離れない。さらに逆水平を35連発、エプロンからの断崖式トルネードボム、雪崩式フランケンシュタイナーなど、健介から非情攻撃のオンパレードを受けた。
だが、厳しい攻めでスイッチの入った諏訪魔はネックブリーカードロップで反撃に転じると、かんぬきスープレックスで健介をブン投げた。
その後は一進一退の攻防。ラリアートを連発する王者を、諏訪魔は真っ向からねじ伏せた。ローリングラリアート、ラリアート2連発からチャンピオン・カーニバルで新日本プロレスの棚橋弘至を沈めた伝家の宝刀ラストライドを発射。それでも健介は肩を上げた。奥の手を返され、諏訪魔は打つ手がなくなった。
ならばと最後は「ベルトを欲しいって気持ちだけだった」という意地の一撃。初公開となる執念のフロッグスプラッシュで粘る健介を圧殺。悲願の3カウントを奪取し、馳浩PWF会長から3冠ベルトを手渡された。
チャンピオン・カーニバルをデビューから史上最速の3年5カ月で初優勝し、3冠王者との頂上対決を制したことで名実ともにエースとなった諏訪魔。「このベルト巻いた瞬間からオレが締めなきゃって責任感でいっぱいだね」とし「力でねじ伏せる。そんなチャンピオンになりたい」と所信表明した。
だが、一方では「本当にこのベルトにオレが成長させられるような感じがします」と不安を抱えている。
そこで諏訪魔は理想の王者に一歩でも早く近づくためのプランを描く。「今の道場でやっていてもできることが限られてしまう。それこそドリー(・ファンク・ジュニア)さんの開いた道場なんかに出向いて、NWAの帝王学を学んでみたい。レスラーとして幅も広がるだろうし、さらなる成長が見込めるんじゃないか」と“武者修行”を熱望した。
「3冠戦では誰もが諏訪魔は強えって言われる試合をしたい。全日本を盛り上げたい」とあくなき向上心を持つ“次世代のエース”は、王道マットに新たな歴史を刻んでいく。