仕上げの追い込み度でいえば、目の前にボーナス賞金5000万円がぶら下がる夏季稼働馬に分があるのはいうまでもないが、じっくり出走メンバーを吟味すると、“本番は次”のビハインドを差し引いても、別定のGII戦では輝くGI馬の貫録オーラに軍配が上がる。
本命はズバリ、昨年の高松宮記念の覇者スズカフェニックスだ。
今春の高松宮記念は発馬直後につまずき、落馬寸前のアクシデント。連覇の偉業こそならなかったが、上がり3Fは“究極の末脚”と断言できる32秒7。シビアな競馬においてタラレバは禁句ながらも、スムーズに中団からさばけていれば、ファイングレインの戴冠はなかったはずだ。
そのファインは今回、「馬格があるといっても59kgはもとより、58kgも背負ったことがないからね」と陣営は斤量に泣きが入っている。対してフェニックスは今年の始動レースとなった阪急杯で59kgを見事に克服し、2着惜敗。当時より1kg軽い58kgも大きなアドバンテージだ。
夏期休暇も順風満帆に過ごした。「7月30日に函館に入厩して順調に時計を出してきたし、小回りの角馬場が合うのか、馬もいい感じでリラックスしていた。Wコースに出してもムキにならず、うまく調教が進められた。栗東には8月31日に帰厩。馬インフルエンザのため、移動制限がされ、急仕上げとなった去年とはまるで雰囲気が違う」
敏腕・児玉助手が体調に太鼓判を押せば、無念の高松宮記念のリベンジを果たし、スプリンターズSの大本命に躍り出る可能性は限りなく大きい。