年始に「今年は全KO勝ち」を掲げた興毅にとっては、公約を果たした形だが、その評価は厳しいもの。対戦相手ははるか格下のランキング14位で、しかも約1年試合から遠ざかっていた選手とあって、「KO勝ちできる相手を連れてきた」といわれても仕方がない。
試合自体は興毅の一方的な内容となったが、ダウンシーンは8ラウンドの1回のみ。勝つまでに11ラウンドも要してしまい、早い回でのKOを期待したファンを落胆させたのはいうまでもない。
その一戦のTBSでの視聴率が、13.9%だったことが分かった。おもな裏番組の視聴率は、日本テレビ「欽ちゃん&香取慎吾の第86回全日本仮装大賞」が13.3%、フジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」が13.0%、テレビ朝日「お願い!ランキングGOLD2時間スペシャル」が10.6%。裏番組との対比では上々であったが、TBSの期待に応えられたとはいいがたい。
王座を獲得した昨年12・26でのアレクサンデル・ムニョス戦の視聴率は13.8%と横ばい。その前の世界タイトル戦(昨年3・27でのポンサクレック・ウォンジョンカム戦)の視聴率22.1%には遠く及ばなかった。
今回の試合ではラウンドガールとして、セクシー系タレントの熊田曜子を投入した。これが、少なからずボクシングに興味がない層の開拓に寄与したのは間違いなく、熊田起用がなければ、前回の数字よりダウンしたであろう。それを思えば、視聴率的には熊田に救われたとの印象が強い。
ただ、今後も亀田陣営が勝てる相手を選んでの防衛戦に固執するようなら、TBSから見放される可能性もある。それは興毅も重々承知のことだろう。試合翌日、興毅は8日(現地時間7日)に米ネバダ州ラスベガスで、WBO世界スーパーバンタム級王座を奪取したホルヘ・アルセ(メキシコ)との防衛戦を希望した。
アルセはライトフライ、フライ、スーパーフライ、スーパーバンタム級と4階級を制覇した強豪。3階級王者の興毅との世界タイトル戦が実現すれば、屈指の好カードとなる。交渉がまとまり、「亀田兄弟は勝てる相手としかやらない」との風評を払しょくしてほしいものだが…。
(落合一郎)