まだ中学生だった04年3月、東京ヴェルディの一員としてジュビロ磐田戦でJデビュー。15歳10カ月の公式戦出場は世間を驚かせた。同年のJ最優秀新人賞に輝き、05年には飛び級でU-20ワールドユース(オランダ)に出場。非凡な得点感覚は早くから高く評価されていた。
06年夏にはセリエAのカターニャへ。3季目の昨季後半から完全にレギュラーに定着し、7得点を挙げる。先週23日の今季開幕戦・サンプドリア戦でもゴール。勢いはとどまるところを知らない。
岡田武史監督が熱視線を送るのは当然のこと。だが、代表チームとはあまり相性がよくないようだ。
05年ワールドユースでは「守備ができない」という理由からスーパーサブで起用されただけ。2度目の世界大会だった08年北京五輪でも、初戦・アメリカ戦で先発し、最終戦・オランダ戦に途中出場したのみ。無得点に終わったばかりか、大黒柱になることもできなかった。
日本代表の指揮官はFWに献身的な守備を求める。「前線からのプレスができず、運動量が少ない森本は長時間は使えない」と考えがちだ。しかも彼は18歳から海外にいるため、頻繁に代表合宿に参加できない。チームコンセプトを徹底する時間もないので、どうしてもプレー時間が限られる。結果として、彼の「頭抜けたゴールセンス」が宝の持ち腐れになってしまうのだ。
岡田ジャパンでも同じ状況に陥らないとも限らない。今回は時差のない欧州での2試合だからいいが、10月の3試合は日本。11月も南ア遠征で長距離移動を強いられる。森本がいい状態で自分をアピールできるのは、今回のオランダ戦、ガーナ戦(9日・ユトレヒト)の2試合だけ。この機をモノにできるか否かが大いに注目される。
※当コラムは今回をもって終了しますが、新紙面でさらにスケールアップして登場します。ご期待ください。