いよいよ田上丸が出航する。
臨時株主総会で承認され、亡き三沢光晴さんの遺志を継ぎノアの2代目社長に就任した田上。三沢さんと同様、社長兼レスラーとして“2足のわらじ”を履いて活動していく。
田上は、早くも関係各位のあいさつ回りに奔走するなど、精力的に社長業をこなしている。あす12日の開幕戦は、新体制となって初めての興行。西永秀一渉外部長によれば「どんな形かはわかりませんが、(社長就任の)あいさつを予定しています」という。
本格始動を前に初めてファンに“決意表明”を行うが、一体どんなものになるのだろうか。
社長就任のあいさつで「これから三沢カラーを出しつつ、新しいこの役員で若い意見もいろいろと取り入れて、新生ノアで頑張っていきたい」と語っているだけに、田上政権の特徴を出したものになりそう。
単独でのあいさつはもちろん、小橋建太、丸藤正道両副社長を従えた“トロイカ体制”でのあいさつや森嶋猛取締役選手会長を含めた“カルテット”での演説も考えられる。
それだけではない。今後は、田上新社長をより多くのファンにアピールすべく、様々な企画が用意されるあろう。昨年9月ディファ有明で行われたファン感謝祭では、人事異動に伴う名刺交換会を実施。2005年の同興行では、三沢さん自らが交換会を行っていた。
それだけに新体制が発足して同様のイベントが行われる可能性は十分にあり得る。
これは三沢さんの残した“遺言”でもある。常々三沢さんは「ファンのために」「お客さんが喜ぶことを」と考えており、それを実践してきた。今回は副社長の丸藤、選手会長の森嶋と若い選手が役員が入ったことで、ファンの声がより反映されやすくなる。
田上の羅針盤は方舟マットをどんな方向に導いていくのかに注目が集まる。
◎「何もない」初の役員会
ノアは10日、新体制発足後、初の役員会を都内の同事務所で行った。
全役員が出席し、2時間以上にわたって論議を交わした。会合の内容は明かさなかったが、辞表を提出した百田光雄相談役の処遇についてなどが話し合われた模様。
役員会が終了し出てきた選手たちは一様に口を揃え「何もないよ」(小橋副社長)、「何もないって」(丸藤副社長)とだけ、言い残し事務所を後にした。