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ローカル回想記(最終話) 後のGI馬2頭を負かしたパーソナリティワンを振り返る

 新潟競馬“夏の陣”もいよいよ、今週で幕を閉じる。フィナーレを飾るのはお馴染みの新潟3歳S。
 徳吉孝士元騎手(現調教助手)は、新潟2歳Sのこの時季がくるとパーソナリティワンで生涯初の重賞勝ちを飾った1996年の「第16回新潟3歳S(現2歳S)」を思い出す。
 「今でも時々取材を受けるんですよ」そう言って相好を崩した。
 この年は、舞台を中山競馬場に移して行われた(芝1200m)。それだけに勝利の味も格別だった。デビューして6年目に、突如として競馬の神様は降りてきた。
 破ったメンバーもすごい。後にGI馬となるシーキングザパール(3着)、メジロドーベル(5着)とそうそうたる名馬が名を連ねていた。
 この大がつく“金星”を徳吉さんは、「運が良かった」と強調する。その運とは、スタート直後にシーキングザパールが外に大きく切れていったハプニングのことだ。
 「最後は“鬼脚”を使って飛んできた。まともなら、あの馬に勝たれていた」まさに、勝負は時の運。勝利の女神は単勝8番人気のパーソナリティワン=徳吉コンビに微笑んだのだ。
 あれから10年ひと昔が経った。徳吉さんは現役を引退→調教助手(蛯名厩舎所属)として第二の人生を送っているが、パーソナリティワンとの出会いは騎手人生の“宝物”になっている。
 「良い馬に巡り合えて幸せだった」そのひと言に万感の思いがこもる。「おかげで関西、地方競馬といろいろな競馬場に遠征することができた」と愛馬に思いを馳せた。
 パーソナリティワンは2000年の武蔵野S(11着)を最後に、地方競馬へ移籍した。

 パーソナリティワン 1994年4月12日生まれ/ 美浦・久恒久夫厩舎→岩手・新田守厩舎/父アスワン/母エイシンマミー/牡/鹿毛/生産者=川越敏樹(北海道・浦河)/馬主=宗像進→伊藤治子/競走成績=中央39戦4勝、地方28戦1勝/主な勝ち鞍=新潟3歳S(96年)/獲得賞金=2億167万2000円

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