元々、俳優志望のコンタだったが、大川興業に所属していた知人のライブに感動し、熱い想いを抱きながら大川興業のオーディションに受けに行ったという。「大川興業の新人オーディションっていうのは、通常、大川総裁の質疑応答で終わるんですけど、僕の時だけエガちゃんが手を上げて『質問があります!』って言ってきたんですよ。僕の眼を見て『男は好きですか?』って聞いてきたんです(笑)。僕はノンケだし、そっちではないんですけど、とりあえず話を広げた方が良いと思って、『はい、好きです』って言ったら『合格!』って。それで合格したらしいです」と明かした。
そもそも、なぜ江頭が「男は好きですか?」と聞いたかというと、それは江頭の芸名に由来がある。「江頭2:50という名前の通りに、深夜の2時50分になると酒乱でホモになるっていうのが、名前の由来なんです。それまでは女の子に興味があるんですけど、その時間帯になると男の方にターゲットが変わるっていう。そういう意味があるんです」と暴露した。コンタがオーディションを受けに行った時期、ちょうど江頭は相方を募集中で、なんでも江頭が徹夜稽古の際に当時の相方に襲いかかり、相方はそのまま逃げていなくなってしまったという。
なんなく大川興業に入社したコンタだったが、実はオーディションを受けた時は、大川興業を劇団だと勘違いしており、「3週間、毎回筋トレをやった後に、アドリブで漫才かコントをやってくれって言われるんですよ。あれ、ちょっとここおかしいぞって。そこでようやくお笑い系の事務所だと気づきました」と告白。ただ、チャップリンやコント55号など元々お笑いも好きだったため、そのまま所属することとなった。
そして、大川興業入社から6か月で江頭とコンビ“男同志”を結成。クリスマスライブでは過激なホモネタを披露し、衝撃的なデビューを飾った。この時、コンタは22歳。「エガちゃんは2年先輩で僕はリーダーって呼んでたんですけども…、当時から全裸になる芸風だったんで、その脱いだパンツを持って履かせにいくっていう『鞄持ち』じゃなくて、『パンツ持ち』として(笑)。それが僕の最初の仕事でした」と語った。
着々とステップアップしていった男同志は、1994年にフジテレビ「Superボキャブラ天国」のキャブラーとして出演し、一躍全国区に! 朝6時に六本木のスタジオでネタを収録し、それから全国のイベント営業に回るという超ハードスケジュールだったという。「当時は『ボキャブラ祭り』っていう営業が全国で沢山あったんですよ。イベントに登場すると『キャーッ!!』って黄色い声援を浴びてましたけど、ネタの途中でエガちゃんが全裸になって客席の女の子に抱きついたりすると、『キャーッ!!』から『ギャーッ!!』という悲鳴に変わるんですよ。それで僕の空手技・かかと落としでツッコミを入れると、エガチャンの暴走が収まるっていう一連の流れで盛り上がっていました」と当時の様子を振り返った。
当然、単独ライブも大人気で「男のお客さんも多かったですけど、何気に女の子のお客さんも多かったです。過激なアナーキーなネタを90分ぶっ通しでやってましたけど、お客さんのリピート率も高かったですし、チケット完売で来られないお客さんもいましたね」と明かした。
「ボキャブラ」バブルの恩恵を受け、一番多忙な時の最高年収は「700万円」と赤裸々に告白したコンタだったが、ブレイクしても家賃2万8000円のボロアパートに住み続け、車や時計といった高級品を購入することもなく、また派手にお金を使う遊びもしなかったという。その中で一番高価な買い物は、大ファンであるブルース・リーの直筆の鉛筆で描いたイラストを7000ドルで落札しただけたった。
過激なネタで瞬く間に人気者になり、収入も増えた男同志だが、ネタは一体どのように生まれていたのだろうか? 「ネタは2人で考えてました。僕は元々役者をやろうと考えていたので、芝居的な台詞回しとかシチュエーションを僕が担当して、それをお笑いとしてどう崩していくかみたいなのはエガちゃんが担当してました」とネタ制作秘話を明かした。ちなみに『ボキャブラ』でのオンエアネタは、男同志が考えたネタと構成作家が考えたネタを打ち合わせし、試行錯誤しながら作り上げていたという。
基本的に江頭の自宅でネタ合わせする機会が多かったが、「『声をを小ちゃくしてくれ』って言われるんですよ」と頻繁に江頭から注意されたという。なぜなのか…、「ご近所があるから当然だなって思うんですけど、畳がヘコむんですよ。おかしいなって思って畳を剥がしたら、御座が敷いてあって隠れられるようになってて、覗いた先から光が漏れてくるのが見えたんです。エガちゃんは確か当時、サラ金から200万円借りてて、その取り立てが来た時に脱出して隣の空き地に逃げていけるように穴を掘ってたんですよ」と映画「大脱走」を地で行っていたことを明かした。
プライベートでもネタの宝庫だった男同志だが、コンビは約9年で解散。コンタが俳優業に力を入れたいとの考えもあり、解散に至ったという。その解散の際に江頭から「1人でやるからには俺を嫉妬させて、『キーキー』言わせるようになってくれ」と約束され、コンタはいまだにその江頭の言葉が忘れられないという。
現在は舞台や映画で役者として活動をしつつ、毎年独りでお笑いライブも行っている。ただ、「今は芸能活動だけで生計を立てるのは正直厳しい」と現状を告白。実際にリングアナやアルバイトや仕事で収入を得ている。
今後の目標については、「芸人としては、例え間口が狭くなっても、男同志でやっていたような過激でアナーキーなスタイルを貫いていきたい。役者としては、逆に間口を広げていきたいですね。そのためにはもっと精進して、最終的には…やっぱりエガちゃんを『キーキー』言わせたいですね(笑)」と意気込んでいた。
【プロフィール】
コンタキンテ/1968年12月3日生まれ/千葉県出身/日本空手協会初段・少林寺拳法初段
【出演情報】
立川志らく三十周年記念企画第一弾「真景累ヶ淵殺人事件」
日時:5月7日(木)〜18日(月)
開演時間:14時30分〜/19時〜
会場:シアターグリーン
チケット:前売り5500円/当日6000円