両国駅は、江戸城(皇居)近くを流れ東京湾に注ぐ隅田川のそばにある。両国駅付近には「旧安田庭園」がある。「旧安田庭園」には、江戸時代には隅田川の水を引き入れて潮の干満で景観が変化した廻遊式庭園がある。明治になり安田財閥創始者安田善次郎の所有となるが、大正12年の関東大震災で崩壊した。現在の庭園は、復元されたもの。付近一帯からは、建設中の「東京スカイツリー」を眺めることもできる。
両国駅ホームからは、江戸東京博物館と両国国技館の建物が見える。
江戸東京博物館では、1月18日から3月6日まで、「140年前の江戸城を撮った男−横山松三郎展」が開催されている。横山松三郎は、幕末から明治にかけて西洋から入ってきた写真技術を学び、写真館を開業した人物。
中国や西洋で発達した城塞都市に対し、江戸のような城下町を「惣構(そうがまえ)」という。江戸にはかつて「見附」と呼ばれた外郭門が無数にあった。外郭門の一つ「数寄屋橋門」(現・千代田区有楽町二丁目)があった場所には、現在、「有楽町マリオン」と呼ばれる複合高層ビルが建っている。江戸の「惣構」は文明開化と関東大震災で失われた。
開催中の「横山松三郎展」では、幕末の混乱で荒廃した江戸城、壕や水路で区画された町、塁や外郭門などを撮影した貴重な写真も見ることができる。
最後に、両国といえば、大相撲。両国駅付近には、ちゃんこ鍋を出す店らも多いが、それら店舗の従業員は、総じて口が重かった。相撲とは直接的な関係のないある商店の従業員は、「しっかりと、みんなが納得できる形で、けじめをつけることが必要でしょう」と語った。(竹内みちまろ)