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ミス・ワールド日本代表“何故ハーフ?”の声も アンチ・ハーフ発言を尻目に日本でハーフの庶民化が進んできた背景

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 2015年、ミス・ユニバース日本代表に日米ハーフの宮本エリアナが選ばれた事が記憶に新しい中、今年8月27日に、日本人とカナダ人のハーフ世良マリカがミス・ワールド日本代表に決定した。

 スポーツ界でもハーフの活躍が目覚ましいが、日本女性の美しさを競うミスコンの日本代表にハーフが選ばれた事を受け、ネットや掲示板では「ハーフの日本代表って有り?」という趣旨の書き込みが殺到した。

 今年4月20日に東京新聞が掲載した記事“「ハーフ」と向き合う”によると、2017年生まれの94万6065人の赤ちゃんのうち、父母の片方が外国人の子は全体の1.9%だ。約50人に1人がハーフの赤ちゃんだ。記事はまた、外国生まれで日本に移住したハーフは国の人口動態統計に含まれない為、日本に住むハーフの実質的な数は統計を上回ると説明する。

 法務省入国管理局が2018年4月に発表した“在留外国人を取り巻く最近の状況と課題”によると、1985年12月に85万612人だった在留外国人数は、2017年12月には約3倍の256万1848人になった。国籍分布は中国、韓国、ベトナム、フィリピンが上位4か国で、在留外国人総数の67%を占める。近年では外国人居住者が多くない地区でも、ランドセル姿で地元の小学校に通うハーフの子供を見かけるようになった。

 一方、ハーフに対する偏見は根強い。NHK NEWS WEBは“日本に戻らなければよかった”の記事で、カナダ人と日本人の間に生まれた高橋美桜子さんを報道した。1989年にカナダで生まれ4歳半で日本に移住した美桜子さんは、ハーフであるが為に学校でいじめを受け、高校2年生の夏に16歳の命を自ら断った。

 しかし、ハーフの数は偏見と差別が有ろうとも今後も増える。何故なら日本の人手不足の解消の為に外国人の人材と労働力が必要だからだ。

 今年6月7日の産経新聞は、厚生労働省発表の平成30年人口動態統計(概数)を基に、1人の日本人女性が生涯に生む子供の数が、2018年には1.42と3年連続で低下したと報告した。同紙は、晩婚化の加速と出産世代の女性人口の減少で出生率は更に減ると予測する。日本は正に構造的な人口減少に直面している。総務省発表の“我が国における総人口の長期的推移”によると、日本の人口は2100年には明治時代後半と同水準の3770万人にまで減少する。

 人口減少がもたらす人手不足は深刻だ。日本貿易振興機構は今年3月26日付のレポートで、日本の企業活動を支える生産年齢世代(15歳から64歳)が1995年に8778万人のピークを打ち、2050年には5557万人程にまで減少すると指摘した。一方、日本の在留外国人は過去最多の264万人に達し、政府は外国人の人材の受け入れ拡大に向けて新たな在留資格「特定技能」を創設したと同レポートは報告する。

 ハーフの外見の違いを“異質“と受け止めるのは、日本人に予測可能な反応だ。しかし、日本の人口分布の変化に遅れずにいる為に、異質は排他する対象ではなく、インクルーシブな姿勢で受け入れるものと思想を転換する事が重要だ。

 アメリカの2020年大統領選挙に民主党からアンドリュー ・ヤン という台湾系アメリカ人が立候補している。彼の風貌は明らかにアジア人だが、“アメリカの大統領選挙の立候補者に何故アジア人?”などの批判は出ない。アメリカ人の意識では、アメリカ国籍を保有する者は、見た目がアジア人でも彼等と同等の義務と権利を有するアメリカ人だからだ。

 17世紀の開拓者時代に奴隷としてアフリカからアメリカに連れてこられた黒人達の子孫も、19世紀ゴールドラッシュ時代にカリフォルニアの金山発掘のために中国から移民した労働者達の子孫も、ルーツの違いを超え、現代の“アメリカ”という文化圏を創り上げる構成員なのだ。

 70年代には、ハーフはテレビや雑誌だけで見る浮世離れの存在だった。しかし、半世紀後の今、彼等は現実の日本社会に生きる一員だ。日本にとって先決すべき課題は、ハーフが半分日本人か半分外国人か、あるいは二国の文化を持つダブルかを検証することではなく、グローバルに知見を広めた上で、“日本人”という定義の枠を見直す事だ。

文: ワシントンDC在住 作家 大内 華衣

引用:

東京新聞 「ハーフと向き合う」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK20190420020000230.html

NHK NEWS WEB “日本に戻らなければよかった”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190419/k10011889021000.html?utm_int=netnewsup-detail_contents_news-related_005

産経新聞 THE SANKEI NEWS “出生率は過去最少91.8万人 3年連続100万人割れ”
https://www.sankei.com/life/news/190607/lif1906070036-n1.html

総務省 “我が国における総人口の長期的推移”
http://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf

日本貿易振興機構(ジェトロ) “総論:データで見る外国人材受入れの実態とその意義”
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/0303/8519356b460b5170.html

法務省入国管理局 “在留外国人を取り巻く最近の状況と課題“
https://www.kantei.go.jp/jp/shingi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/dai5/siryou6.pdf

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