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3割が40歳未満の患者! “昔の病気じゃない”結核、有名人の発症も相次ぐ 防ぐ方法は

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 9月24〜30日は「結核予防週間」と定められている。結核と聞くと、昔の病気と思う方も少なくないかもしれない。たしかに、日本では1950年代には年間死亡が十数万人に上り、国民病とも言われた。しかし、最近でもハーフタレントのJOYが2011年に、お笑いコンビ・ハリセンボンの箕輪はるかが2009年にそれぞれ結核を発症しており、長期の入院を余儀なくされたことを思い出してほしい。

 医療の発展、抗生物質の開発で結核の死亡率が激減し、罹患率も少しずつ先進国の水準に近づきつつある。しかし、毎年新たに1万5000人以上の患者が発生、2000人の死亡が報告されている。65歳以上が6割と高齢者の割合が多いが、40歳未満が3割を占めるなど若年層も決して少ない数字ではない。2014年には結核治療の新薬が開発されたが、多剤耐性肺結核も問題だ。

 結核は結核菌によって引き起こされる感染症だ。その中で肺結核が8割と多くを占め、感染が進むと腎臓やリンパ節、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがある。咳や痰といった風邪に似た症状で発症し、徐々に肺の組織をむしばみ呼吸機能が徐々に低下、ほかの臓器に感染が及んでいく。通常の風邪では10日程度で症状の改善がみられるのが通常だ。しかし、2週間以上症状が続いたり、息苦しさ、血痰、強い倦怠感や体重が急激に減るなどといった症状が出る場合には結核の可能性が疑われる。

 抗生剤を内服する治療がメインで、治療期間は半年以上だ。さらに、全身の状態が悪い場合や周囲への感染の恐れがある間は入院管理が必要となる。長期にわたる内服加療が必要だが、中断してしまうと結核の再燃や耐性菌など問題があるためきっちりと治療することが重要だ。

 結核は空気感染であり周囲への感染対策も必要となる。結核患者が排菌している場合は周囲の人に結核を移している可能性がある。そのため、ツベルクリン反応や胸部レントゲン写真など2年ほど検査を繰り返し行う必要も出てくる。結核菌に感染しても全ての人がすぐに発症するわけではない。10人に2人程度発症し、あとは体の中にたまったのち、再び活動を開始し発症することも頭に入れておきたい。

 では、結核にならないためにはどうしたらいいだろうか。

 小児ではBCGワクチンの接種により結核の発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度リスクを減らすことができる。しかし、ワクチン接種の効果は10〜15年程度。成人になると効果が減弱している。

 成人では免疫力を上げることが結核の予防につながる。睡眠や休息を十分にとり、規則正しい生活習慣を送れば結核から身を守ることができる。喫煙者の発症が多いと報告されており、糖尿病やステロイド服用者は免疫力の低下があるため結核になりやすい。受動喫煙者も感染のリスクが高くなるため禁煙を心がけてほしい。

 結核は放置すると50%死亡に至る感染症であり、重症で発見されると治療は困難といわれる。早期発見治療することで周囲への感染を防ぎ、後遺症を残さずに治療できる。咳や痰が続く場合には早めに医療機関を受診することをおすすめする。また、健康診断の胸部レントゲン検査などは結核の早期発見に有効とされる。結果は必ず確認してほしい。

参考:
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html

文責:木村ゆさみ

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