時の勢いは若き王者にある。新世代の宮本は、空中殺法を取り入れてデスマッチの可能性を広げるなど、目ざましい活躍を見せている。それでも小林は「物足りない」と言い切る。
「宮本のアスリート的な強さは認めるし、運動神経もいい。ただ、プロレスは運動神経でやるわけじゃないし、単なる技の応酬では意味がない。結局、戦うのは人間同士。そこに魂がこもっていないとダメ」。
デスマッチを続ける中で、小林は大小さまざまなケガを負ってきた。最近では乳首周辺をざっくりと裂傷。それでもリングに上がり続けた。
さらに「いまの若い選手はデスマッチをすればすぐにマスコミに取り上げてもらえるけど、自分が入った14年前はまだまだベテランもいて、簡単にはいかなかった」と振り返るが、そこに小林の計算がある。
選手権の試合形式は蛍光灯445本デスマッチに決定。小林は決戦の地にちなんだ新技『高岡大仏』の投入を予告した。すでに技は完成しているが「過去10年、公開練習で手の内を見せすぎたために勝てなかった。30代になって学習をしたので、高岡大仏は本番まで出しません」と未公開を決めこんだ。