新年一発目の『雅道のサブカル見聞録』では、2012年、注目の間違いなしのサブカルトピックスを独断と偏見で5つセレクト。これさえ押さえておけば、今年のサブカル界を楽しめることを間違いなし。それでは、スタート!!
●プリキュアの新シリーズのターゲットは“大きなお友達”!?
プリキュア新シリーズが2月より放送開始する。ガンダムシリーズと同じく長寿シリーズの宿命なのか、女児向けアニメなのにも関わらず“大きなお友達”からキャラデザがどうの、設定がどうのと批判が毎年寄せられるプリキュアシリーズ。しかし、今回の『スマイルプリキュア』では、絵柄は文句なしの可愛いデザイン、キャラの性格付けも良いと評判で、これはオタ向けに特化したプリキュアではないかとの声も。たしかに公開された公式の資料などをみると、アニオタが喜びそうな要素が満載で、プリキュアというよりは一昔前の『東京ミュウミュウ』などを思いだすデザインだ。
しかし、プリキュアにとって“大きお友達”は、あくまでサブ的な存在でしかない。肝心の女児人気は出るのだろうか? あまりオタ方面に特化する事態だけは避けて欲しいものだ。コンテンツそのものの消滅にもなりかねない。本当のオタ向けには毎回シュールな展開で女児を置いてけぼりにする朝アニメ『ジュエルペット サンシャイン』があるから十分なはず。まあそれはともかく、同人誌人気は凄くなるんだろうなあ…。
●これからどうなる!? 『機動戦士ガンダムAGE』
2011年10月、ゲーム、玩具業界でヒットを飛ばし続けるメディアクリエイター日野晃博が、ガンダム新シリーズの企画構成を担当、究極のメディアミックス作品として鳴り物入りで始まった『機動戦士ガンダムAGE』。しかし、フタを開けてみれば子供向けを意識しすぎて、安定しないストーリー展開。それにより日野氏のツイッターは毎週放送が終わると炎上した。メインターゲットとしていたキッズ層にも今ひとつの反響。期待をかけていたプラモデルもあまり奮っていないのか、主人公機の換装パーツが去年のヒットコンテンツである『魔法少女まどか☆マギカ』の可動フィギュア「フィグマ」とのパーツ差し替えが可能なことから、まどかタイタス、ほむらスパローなどと組み合わせて遊べるとネタキット化を奨励するポップを玩具店から書かれるという状況だ。
旧来からのガンオタの皆様はさぞ嘆いてるかと思うが、まだ放送スケジュール的に四分の一を消化したにすぎない。勢力がゴチャゴチャしすぎて分かりずらいといわれていた前シリーズ『機動戦士ガンダム00』もファーストシーズン中盤以降から怒濤の展開で人気を獲得。最終的にはガンダムシリーズとしては初のTV放送終了後の完全新規ストーリーでの劇場アニメ化を成し遂げた。そして今回はシリーズ初の三世代に渡るストーリー。路線転換も他のシリーズよりとりやすい。これらの条件が揃っている限り、まだ悲観的になるのは早い、きっと巻き返しはある…はず。
●アイドル戦線激化 AKB包囲網
AKB48の独壇場であった2011年ののアイドル業界。しかし2011年末に「モーニング娘。」などをプロデュースするつんく♂が秋葉原でマルチクリエイター志倉千代丸氏と組み、アイドル育成カフェなるもの設立。店員として働くアイドル候補を客がプロデューサーとして育成できるシステムとなっており、店内で飲食や商品を購入するごとにポイントが溜まり累計ポイントが多いアイドルには店舗外での活動やテレビ出演が優先的に回されるという。「会いに行けるアイドル」に「プロデュースできるアイドル」が挑むということのようだ。他にも、ももいろクローバーZが4月に結成以来初の横浜アリーナ2デイズ公演までこぎ着けた。新しいアイドルも続々出始め、少なからずAKBのファンも流れている予感。いくらCDセールスが好調とはいいつつも今年はさすがのAKB48も苦戦必至か!?
しかし、「AKB48あっての他のアイドルグループ」との意見もあり、AKB48の人気に陰りが見え始めると、すべて共倒れする可能性も指摘されている。2012年は今後のアイドル界がどこへ向かうのか、注目の年にもなるだろう。
●「ニンテンドー3DS」 VS 「PS Vita」 携帯ゲーム機次世代戦争本格化
去年の12月17日プレイステーション・ヴィータ(以下PS Vitaと表記)発売し、昨年2月に既に発売されていたニンテンドー3DS(以下3DSと表記)の対抗馬が登場、どちらが覇権を穫るか去年末からゲームファン注目の的となっている。3DSは初動こそ3D描写の必要性の是非と任天堂では珍しく初期発売の人気ソフト不足がたたり、つまずいた感があったが、大幅な値下げの断行と『スーパーマリオ』『モンスターハンター』などのキラーソフトが出そろったこともあり、最終的には旧DSを超えるハイペースの売り上げ台数で2011年を終えている。一方のPS Vitaはというと、こちらも初期段階での製品不良が問題となり、やはり伸び悩みが危惧されたが、店舗消化率は悪くない。しかし、PSP時代に最高の売り上げを記録したカプコン制作のソフト『モンスターハンターシリーズ』の発売はまだ先になるとのことで、既に発売されている3DSと差が開きそうだ。
マリオ、ゼルダ、ポケモンなど、自社に有力コンテンツを抱える任天堂と違い、ハード開発元のSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)に人気シリーズが少ないのが痛いところだが、携帯電話回線を利用したネット通信、動画再生能力に特化したPS Vitaはゲームハード以外の用途も期待され、そちらで売り上げを延ばし厳しい時期を凌ぐ実力はあるはず。個人的にはセガがここで空気を読まずにゲームギア2とかを出してくれると面白いと思っていたりする。まあ、絶対ムリだけどね。
●AKBアニメ放送でAKBオタと声優オタが全面戦争!?
AKB48、SKE48、NMB48、HKT48から選抜された渡辺麻友、石田晴香、岩田華怜、佐藤亜美菜、佐藤すみれ、仲谷明香、秦佐和子、三田麻央、矢神久美の9人が声優として声をあてるアニメとして話題となっている、AKB48をモチーフとしたオリジナルアニメ『AKB0048(ゼロゼロフォーティーエイト)』。制作陣には、総合プロデューサーの秋元康氏の他に『マクロスシリーズ』などで知られる河森正治監督、『新世紀エヴァンゲリオン』の大月俊倫プロデューサーが参加するなど、このスタッフ陣をみる限りかなり本格的なアニメーションとなるのは間違いないだろう。声優選抜も有名なメンバーに偏らず、研究生まで入れるあたり、情報が初公開された時に表明された「将来的に声優の仕事にも挑戦したいという意気込みがあること」の方針が守られているようだ。ただ、もともと、アニメオタクとアイドルオタクというのは水と油の関係。嫌悪まではいかなくても、互いに相容れない存在でもある。そのアニオタのホームともいえTVアニメに進出してきたAKB48を、声優オタは、どういう気持ちで迎えるのだろうか。雑誌グラビア進出したAKBに誌面を独占され、グラドルオタに衝撃と嘆きを与えた過去の記憶もあり、アニオタの危機感は少なからずあるようだ。放送開始後の反響がどうなるか、いまから気になって仕方が無い。
以上が独断と偏見で選んだ今年のサブカル界の見どころ。それでは、週に1度は秋葉原に行かないと体調が悪くなる皆さま、仕事中にずっとプラモデルのことを考えている皆さま、アイドルのポスターで部屋の壁が見えなくなってしまっている皆さま、今年もよろしくお願い致します(斎藤雅道)