事の発端は井岡陣営の発言だった。6月30日、報道陣から、亀田との対戦を聞かれた井岡は「見たいと望んでもらえるカードなら、階級とタイミングさえあえば、誰とでもやりたい」とコメント。これはあくまでも、対マスコミ用のリップサービスにすぎなかったが、父でプロモーターの一法氏が「その時がくれば、うちはやりますが、相手(亀田陣営)が嫌がるのでは」と発言。
この一法氏のコメントが、一部報道に掲載されたのを知った興毅が、これに過敏に反応した。兵庫県淡路島で合宿中の興毅は、7月2日、井岡について、「いつでもやってやる。あんなレベルに負けるわけない。オレは誰もしてない日本初の3階級制覇をしてるんや。オレが一番」と激怒。興毅は「スーパーフライ級に落としてチャンピオンになって、ベルトを持って待ったるよ。そして返り討ちにしたるわ。亀田亀田って名前を出すな」と続けた。
現在、両者の階級は実に4階級もの差がある。井岡は次戦で1階級上のライトフライ級に上げることを決めているが、それでも3階級も差があり、対戦するには現実味があまりにもなさすぎる。
仮に闘うとしたならば、中間のフライ級が公平なところか。もともと、興毅はフライ級からスーパーフライ級を飛ばして、バンタム級に2階級上げており、スーパーフライ級はいわば本来の階級。ただ、その階級で、対戦の提案をしても、井岡陣営にはとても乗れない話。
そもそも、ヤル気があれば、もっと実現性ある発言になるはず。ヤル気もないのに挑発されても、井岡陣営としては困るだろう。こういった発言は、いたずらにファンの混乱を招くだけだ。
(落合一郎)