ちなみに、ガールズバーは2000年頃に誕生したようで、発祥は大阪・京橋だったという説もあることから、大阪が激戦区になっているようです。
大阪の堂山といえば、ゲイタウンとして有名です。最近は、ゲイという言い方のほか、MSM(Men who have sex with men:男性とセックスをする男性)という言い方も出て来ています。男性とセックスをするのは、ゲイだけとは限らないからです。堂山は、男性同士で手をつないでいる光景もよく目にする街です。
ちょっと、脱線してしまいました。
さて、仕事で堂山に行ったとき、知り合いの女性がガールズバーで働いているのを思い出し、お店を探しました。確認できたので、メールをしてみると、まだ出勤していないとのこと。そのため、その時間になるまで他の店に行くことにしました。
その店は、普通のバー風で、20分ごとに話をする女性バーテンが変わるシステムでした。指名制度もあるようです。話をしてみると、堂山は最近ガールズバーの激戦地域になっているために、工夫している店が多くなっているとのことです。そういえば、いろんなコンセプトの店があったように思います。
この店もそこそこ楽しかったのですが、店内が混んで来たので、他の店に異動しました。次に入った店は、バーテンの女性が水着になっていました。そのため、他の店よりもやや値段も高めの設定です。ただ、ここも混んでいて、女性とゆっくり話すのではなく、水着姿を眺めるという感じになっていました。複数で来れば、水着姿の女性も話のネタになりますが、1人だと、ちょっと間が持たない感でした。
そのうち、知り合いの女性が出勤する時間になったので、その店に行くことにしました。やはり、この店も混雑しています。カウンター内には7〜8人の女性たちがいました。バーテンの女性を目当てに来ているお客さんもいるようでした。
ガールズバーは、風適法でいう「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」=「接待」が禁じされています。つまり、お客の横に座ることができません。一説には、横に座る時間が5分を超えると、「接待」と見なされる、とも言われています。そのため、バーテンと客は正面で向き合うことになります。一部には、女の子の顔を見ながら飲めるので、キャバクラよりもいい、という声もあります。そして、キャバクラよりも安価な設定ですし。
この店は指名制度がないために、知人の女性が私のほうになかなか来ません。こうしたシステムも客の心を揺さぶります。なかなか話せないと、話せるタイミングを待つしかありませんし、そのときがきたら、楽しく話したくなるものです。
ようやく目当ての女性がやってきました。普通に飲んでいるときとは違った雰囲気です。 ガールズバーは「オンナ」を売っている部分もあります。それまで「オンナ」として見ていなかった知人を「オンナ」として見る空間なります。
私もバーテンをしていた時期があるので、知り合いが客でいるのは非日常的な感覚ですが、それがガールズバーで展開されると、落ち着かないものです。気がつくと、結構、飲んでいて、キャバクラに行くよりお金を使っていました。
<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。
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