「上原は(大リーグ行きに)本気ですよ」。こう断言するのは上原に近いジャーナリストである。
その理由として二つあるという。
「今シーズンのピッチングに満足している。一度失いかけた自信を取り戻したようです」。
さらに「上原はいま32歳。年齢から考えてもう挑戦しないと夢を果たせなくなると思っていますよ」。
上原は巨人に入団する前、大学生のころから「絶対、大リーグに行く」と公言し、野球人の夢としていた。大体大4年生のとき、既に大リーグからオファーがあったという。
巨人の関係者が振り返る。「巨人が上原を獲得するのにポイントとなったのは大リーグ球団との取り合いだった。上原にはエンゼルスから声がかかっていたと聞いています。だから上原はいつも大リーグでのピッチングを念頭に巨人で投げていたはずです」と。
大リーグの日本駐在スカウトによると「上原はレッドソックスの松坂大輔より評価が高い」のだそうである。「ポカが多い松坂に比べ、上原は打たれない、負けないタイプの投手。間違いなく優勝チームに必要な投手で、相当高い値段がつくはず」と見る。
他にもう一つ強烈な情報がある。「ヤンキースが狙っている」と情報通からの証言がある。それも「日本円にして150億円を準備している」というのだ。松坂の120億円を上回る超破格のオファーである。
これが現実のものになると上原に75億円、巨人に75億円になる。松坂の場合は西武と60億円ずつだった。しかし今季の松坂はあれだけ騒がれながら15勝13敗。
「勝ち負けの差がたった2。高額契約の価値がない」とボストンの地元マスコミから指摘されている。ワールドシリーズへ向けたプレーオフでどんな活躍するか注目の的になっている。
その一方で、こんな話がある。「ヤンキースも当初は松坂獲りに参画したが、あっさりレッドソックスに譲った。これは上原が本命だったからといわれています」とはニューヨーク在住のジャーナリスト。加えて「ヤンキースは38歳の抑えのリベラを見限っています。その後釜に上原を考えているようです」
上原は先発として巨人のエースだった第一次原監督時代、大リーグを希望し、原監督もそれに賛成していたというが、その後、故障などでチャンスを逃し今に至っている。今シーズンは抑えとしてリーグ優勝に大きく貢献した。しかし、その裏にはこんな事情もあった。
「原が監督にカムバックしたとき、投手陣を見て驚いた。抑えがだれもいない。そこで上原を説得したわけだが、抑えにしておけば上原は大リーグをあきらめるだろう、という読みもあったようだ。上原が抑えにいれば連覇も十分計算できる。ところが大リーグは“抑えの上原”にも大注目した。原にとっては予想外のことでしょう」(巨人担当記者)
ヤンキースは巨人を出たゴジラ松井がいる。松井は上原のいい時を知っており、松井がヤンキースのフロントにアドバイスしたことも十分考えられる。
上原はこのところご機嫌だという。「そうでしょう。大型契約で夢が叶うんですから」(巨人OBの評論家)。巨人は慌てて他球団の抑えを獲得しようとリストアップしているとか。