当初、11月14日と18日には2011年アジア杯最終予選・香港戦が入っていた。が、両日はせっかくの国際Aマッチデー。欧州組も呼べる絶好の機会に、アジアの弱小国と戦うのはもったいない。そこで14日の香港戦を10月に前倒しして日程を空け、強豪国と対戦。18日は香港に寄る形に変更したのだ。14日の相手は、確実に欧州予選を1位通過しそうなスペイン、ドイツなど強豪国が最有力候補のようだ。
FIFAランク3位のオランダに挑めば、世界4強レベルがどんなものか、国際経験不足の選手たちも実感できるはず。「日本のレベルをもう一つ上げたい」と岡田武史監督は意欲的だ。協会の犬飼基昭会長も「40位の国が4強を狙うなんて、何言ってるんだと批判されるのも分かる。だが、やるからには高い目標に取り組むべき」と指揮官を力強く後押しした。
とはいえ、もし最初の関門であるオランダに惨敗したら、その後の強化プランが大幅に崩れる可能性も否定できない。
日本が「アジアの弱小国」と世界中から判断されれば、ガーナなどが主力を温存することは十分考えられる。10月の2試合も、岡田監督は「W杯予選が終わって、そのままのメンバーで来てくれると聞いている」と期待するが、そう楽観的になれない。5月末のキリン杯で来日したチリもベルギーも「主力がそろう」という話だったのに、実際には中心選手が2〜3人しかいない有様だった。大金を投じてマッチメークしても、強化にならなかったケースは過去に何度もある。
「世界を驚かす」と岡田監督は常々語っているが、本当にその布石を打ちたいなら、もっと現状に危機感を持つべき。すでに長谷部誠がヴォルフスブルクでフェー新監督の下、控え組に回されるなどマイナス材料も聞こえてきている。選手個々がこの2か月を有効に最大限使わなければ、今後の強化は成功しない。