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目覚しく進化するインディー界の若手たち。第三回『夢闘派宣言』にその片鱗を見た!(2)

 現在のインディーマット界で異彩を放っているプロレスラー・矢野啓太。
 格闘探偵団バトラーツ出身でありながら、石川雄規の「情念」や澤宗紀の「やりすぎくらいが丁度いい」とは違い、彼の好むレスリングはヨーロッパで培われてきた「キャッチレスリング」。加えて攻防が数珠繋ぎとなる「チェーンレスリング」を主体とする。どちらかと言えば地味な展開となるはずのレスリングで、自らのキャラクターを形成し、緊張感の中に華麗さを加えた独自のスタイルを確立させた。その活躍により、ネットプロレスの新人賞を獲得している。

 9月20日夢闘派宣言のセミファイナルで、矢野は666の山田太郎と対戦。山田はここ最近様々な団体でその実力を認められ頭角を現している期待の若手レスラー。メキシコで修行したジャベ、バランスの良い空中殺法は見るものを魅了する。8月の夢闘派宣言では夢名塾のエース・渡辺宏志と対戦し、各方面でその試合は絶賛された。
 期待通り、両者の対戦は当日集まった観客を魅了した。取っては取り返す、また取り返す関節技の攻防、その流れが途切れることはない。まさしく数珠繋ぎの「チェーンレスリング」を展開する両雄。矢野のレスリングに即座に対応する事が出来た山田太郎も凄い。アームドラッグから足を払ってフォールの体勢に持ち込む展開の最中、山田に対して敬意を評した矢野は思わず握手を求めた程。
 あまりにも複雑な流れなので文章で表すと、とてもではないが普通の文面では足りない。目を見張った攻防を表してみると…。

 組み合った両者、矢野が片足タックルで山田をテークダウンさせる。直後に左足をレッグロックに捕らえ、左手で抱え込んだまま右手で山田の顔面を極めるリバースバイパーホールド。バトラーツのお家芸とも言える技を極める。これに苦しんだ山田だったが、顔面を絞る右腕を払い逆にアームロックを極めていく。そのまま体勢を切り替えてワキ固めへ。そのままスタンドに持ち込んだ山田、腕を極めたままフライングメイヤー。倒した矢野の両腕を極める羽根折り固め。しかし矢野はその体勢から脱出、回転十字固めで山田の両腕をマットに付ける。ところが更に山田は脱出すると同時に矢野の両足首を抱え込み、逆エビ固めの要領で体を反らせて絞り上げて見せたのだ。
 この攻防は2ラウンド目が始まってわずか30秒程度の間に起こったもの。さすがにこの両者の攻防を全て書き表すにはスペースが足りない事を了承してもらいたい。それだけ濃厚で、なおかつ途切れることの無いレスリングが目の前で繰り広げられると、観客も拍手せざるを得ない。
 その後も複雑なジャベを切り返して回転足折り固めを決めた矢野、飛びつき式のトライアングルランサーを見せた山田、矢野のヨーロピアンヘッドロック地獄から脱した山田の飛びつきフランケンシュタイナーから丸め込み技の連発、最後のゆりかもめが極まるまでの攻防…とにかく文字で表現するのは難しい。
 出来ることであれば、次回11月27日(土)に行われる夢名塾プロレスリング本大会のチケットを各会場売店で購入していただきたい。購入いただいた方には今回の夢闘派宣言のDVDが進呈されるので、見ていただきたいからである。

 第2試合ではガッツワールドのレオナルド高津とピンクタイガーモンスター軍のJOMが対戦。文字通りの他流試合の形式となったこの対決であった。試合はグラウンドの高津、スタンドのJOMと完全にペースが決まってしまっていた。グラウンドで高津が圧倒していただけに、判定があるならば高津の勝利になったであろうが、それでもJOMは2ラウンド、左ミドルから右ハイを叩き込んでダウンを奪っている。JOMの意地の一発と言える。
 結果は3ラウンドをフルに闘いぬいての時間切れ引き分け。しかしこの対戦の評価は思った以上に低かった。今後夢名塾というスタイルにJOMが対応できるようになれば評価はがらっと変わるだろう。

 第1試合では夢名塾のエース渡辺宏志と、第2の弟子である堀口祐介がシングルマッチで対戦。闘志を前面に出して闘う堀口であるが、この日ばかりはそれが封じ込められたような気がした。それが象徴されたのが、第2ラウンド開始の時とラウンド中盤。ゴングが鳴ると同時に突っ込んで行った堀口のドロップキックを渡辺が振り払った時、そして胸板へのパンチのラリーが続く中突然渡辺がサミング。堀口の攻め手は少なくなかったものの、今回ばかりは渡辺の術中にハマってしまったようだ。プロレスの奥深さを体感した堀口、今後彼のファイトスタイルにどのような変化が見られるのであろうか。

 インディーの若手選手だからといって甘く見てはいけない。特に夢闘派宣言に上がる若手については、それ相応の技術があると認められていないと出場する機会がない。キャリア5年以内の若い選手を主体として今後も行われていく夢闘派宣言。将来のエース候補を発見する事が出来る機会は、また訪れる。
 今度は誰が光を浴びるのか。全国で活躍するインディー団体の若手選手よ、一度この夢闘派宣言の門を叩いてみてはどうだろうか? 得るものはとてつもなく大きいものであると言える。

(Office S.A.D. 征木大智(まさき・だいち))

◆夢名塾プロレスリング 第三回『夢闘派宣言(ぶとうはせんげん)』
2010年9月20日(月・祝)
埼玉・大袋『ケルベロス道場』(観客30人)

<メインイベント シングルマッチ 5分5ラウンド制>
○神威【FREEDOMS】(4R 3分29秒 片エビ固め)●長屋亮治【夢名塾】 ※オーバーヘッド・キック

<第3試合 シングルマッチ 5分4ラウンド制>
○矢野啓太【格闘探偵団バトラーツ】(3R 2分54秒 ゆりかもめ)●山田太郎【666】

<第2試合 シングルマッチ 5分3ラウンド制>
△レオナルド高津【ガッツワールド】(時間切れ引き分け)△JOM【ピンクタイガーモンスター軍】

<第1試合 シングルマッチ 5分3ラウンド制>
○渡辺宏志【夢名塾】(2R 2分50秒 チキンウイング・アームロック)●堀口祐介【夢名塾】

※夢名塾プロレスリング次回大会は11月27日(土)18:30より西調布格闘技アリーナにて開催。

詳細は夢名塾プロレスリング公式サイト http://mumeijuku.dousetsu.com/ にて随時発表。
お問い合わせは夢名塾プロレスリング mumeijuku-pw@ezweb.ne.jp まで。

【特別情報】
 次回夢名塾11月大会のチケットを、「各会場の夢名塾売店で購入した」方に限り、特別にこの第三回夢闘派宣言のDVDが進呈される。売店は10月から始まる予定なので、この機会に是非お求めを!!

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