夫婦仲が良いと思っている人の中で、「相手の仕事を理解している」と回答した人の割合は85.6%。夫婦仲が良いと思っていない人の中で、「相手の仕事を理解している」と回答した人の割合は48.3%と、大きな開きがある。また、夫婦仲が良いと思っている人のうち69.0%が、「パートナーに仕事や家事の感謝を伝えている」と答えているのに対して、夫婦仲が良くないと思っている人の中で仕事や家事の感謝をパートナーに伝えている人は22.5%にとどまった。相手が携わっている仕事や家事をより理解し、それに感謝できるかどうかで、夫婦仲は変わってくるものだということが分かる。
夫婦の関係が良好だと感じている男女に、実際に相手の立場を理解しているか、それに対する感謝の気持ちを伝えているのか、話を聞いた。
「うちは共働きですが、お互いが相手の職業を尊敬しています。感謝の気持ちは、直接言うのは照れくさいので、どこかに遊びに行ったり、プレゼントをしたりして表現しています」(30代・男性)
「妻は結婚してからずっと専業主婦ですが、妻が家庭を守ってくれていることで安心して働けるので、感謝の気持ちしかないですね」(40代・男性)
「私は結婚してからも働きたかったので、その気持ちを尊重して働かせてくれている夫とはずっと円満です。子どもが3人いるので、妊娠中や育児が落ち着くまでは休職していましたが、子どもが独立した今は、定年までバリバリ働くつもりです。老後は夫婦でゆっくりと生活できたらうれしいです」(50代・女性)
「お互いの立場を尊重している夫婦の関係は良好だ」というのは確かなようだ。反対に、夫婦の関係が良くないと感じている人はどうなのだろうか。
「私は在宅でイラストレーターの仕事をしているのですが、外で働いている夫からしてみれば、遊んでいるようにしか見えないそうなんです。『お前は家で楽に仕事ができるからいいよな。こっちは毎日外で働いてきて大変だよ』と…夫と私の収入は同じぐらいでも、家事は全て私がやっています。夫婦関係を続ける意味がないと感じるので、離婚も考えています」(30代・女性)
夫婦の仲が良くないと、お互いの家事、仕事への理解度も低くなるようだ。「doda」の調査結果で、パートナーの仕事や家事を理解していないと回答した理由で最も多かったのは「パートナーの職業が専門的なため理解ができない」だった。パートナーの職業が専門的だと、理解しづらい側面もあるかもしれない。だが、理解できないからといって、相手に負担をかけてしまうのではいけない。それが不仲の原因になりかねないだろう。
厚生労働省の「人口動態統計の年間推計(2017年)」によると、2017年の婚姻の推計数は年60万7,000組、離婚は年21万2,000組。「3組に1組の夫婦は離婚している」と以前から言われているが、それはデータでも証明されている。そんな現代にあって、夫婦の関係が良好だと感じている夫婦が圧倒的に多いという調査結果は、意外ではないだろうか。夫婦円満のポイントは、お互いの立場を尊重することにあるというのは間違いなさそうだ。
文/浅利 水奈