怪我人続きのベイスターズ打線だが、交流戦は何とか借金2で踏ん張った。ラミレス監督も「この状況で良く戦った」と一定の評価を与え、初戦から主砲筒香嘉智、2戦目からはネフタリ・ソトが戦線復帰して臨んだドラゴンズ戦は、大きな期待を抱かせた。先発投手陣も石田健大、東克樹、浜口遥大の左腕3枚を立て、ここまで6勝2敗と分のいい中日相手に勝ち越し、一気に波に乗りたい名古屋での3連戦だった。
☆惜しくも負け越し
金曜日の初戦、2回に幸先良く先取点を奪うもその裏、石田が3失点を喫し、苦しい展開に。しかし、その後立ち直り失点は初回のみ。7回をヒット4本に抑え、クオリティースタートを記録。久々に好投をみせた。打線は4回、山下幸輝のプロ初ホームランと、土壇場の9回、代打の中川大志がレフトスタンドへ同点ホームランを放ち、試合を振り出しに戻すも、11回に三上朋也がサヨナラ押し出しフォアボールで万事休す。惜しい試合を落とした。
土曜日はこの日から復帰のソトが活躍。1回にタイムリー、5回に7号ホームランを放ち有利に試合を進め、5回終了時点で3-1とリード。しかし、先発東が6回に捕まり1点差に詰められたところで、三嶋一輝にスイッチ。福田を三振に切って取るも、まさかの振り逃げで満塁に。その後モヤにタイムリーを浴び、打線は6回以降ヒット1本と沈黙。後味の悪い敗戦を喫してしまった。
日曜日は浜口が粘りのピッチング。この日はストレート中心ではなく、変化球を有効に使い、また得意の牽制でランナーを刺すなど、投げるだけではないピッチャーとしての大事な部分もフルに使い6回を無失点。勝ち星こそ付かなかったものの、堂々の投球だった。打線は“サンデー筒香”が6回に均衡を破る17号ソロホームランを放ち、このまま逃げ切りを計りたいところだったが、8回にスペンサー・パットンが捕まり追いつかれてしまう。しかし最終回、宮崎敏郎のヒットから、乙坂智、柴田竜拓も続き満塁。ここで関根大気が走者一掃のスリーベースをかっ飛ばし、これが決勝点となった。
☆若手の必死さ
この3連戦は残念ながら負け越してしまったが、ポジティブ要素も多分にあった。開幕投手ながらイマイチ波に乗れなかった石田が、立ち直りのキッカケになりそうな好投。浜口も2戦連続の無失点ピッチングで、剛球とチェンジアップで三振を奪うスタイルではなく、6回を94球でまとめる省エネ投球で新たな引き出しを披露した。打撃陣では初戦の中川大志の同点ホームランに始まり、3戦目は乙坂、柴田がチャンスメークし、22歳の関根が決めた。その後も高城俊人、神里和毅が続き、得点を奪ってみせた。
交流戦から主力の怪我が続出し、苦肉の策ながら蒔いた種が、ここに来て芽を出し始めた。若い力が台頭し、チーム内競争が激しくなってきた時、より魅力的で強いベイスターズになっていく。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘