もし勝てば、ミツマサ(1946年)、カワカミプリンセス(2006年)の3戦を破る史上最少キャリア、デビューから85日目は、78日目のシャダイアイバー(82年)に続く最速2位タイ、無敗での栄冠は5頭目の快挙となる。
「まあ、2戦しかしていないから、負けても仕方ないんだけどね。ただ、レースセンスはすごくいいよ」と鹿戸雄調教師は気負いのない口ぶりで悠然と構える。
昨年3月に開業したばかりの新米トレーナーとはいえ、見習い調教師時代は東の名門・藤沢和厩舎で修行を積み、強い馬づくりのノウハウを学んできた。その経験は即座に生かされ、昨年はエフティマイアで桜花賞、オークスでそれぞれ2着と健闘。秋にはスクリーンヒーローでいきなりジャパンC制覇をやってのけた。
「走るのはお馬さんだから、こちらがイレ込んでもね。ボクはいかにいい状態に仕上げるかだけ」
そんな職人肌の“親方”の下、仕上げられてきたデリキットピースはますます快調だ。1週前の追い切りは13日に行われ、南Wコースで5F71秒9、上がり3F40秒5→12秒6(馬なり)をマーク。併せ馬で1/2馬身先着した。「時計よりも最後までしっかり併せることを主眼にやった。予定通りだし、いい雰囲気だよ」と指揮官。前走の忘れな草賞(1着)で12キロ(430キロ)減っていた馬体も「440キロまで戻っている」とベストの状態で送り出せることを明言した。
今回は桜の女王ブエナビスタを筆頭に、一気に相手が強化するが、2000メートルで2勝しているのは心強い。
「前走も終いタレるような感じから、もう一度伸びて突き放す強い競馬だった。2、3着馬がスイートピーSで上位にきているように、メンバーも良かったからね。距離はもちそうだし、強いあの馬にどこまでくっついてこられるか楽しみはあるよ」
母の姉は1992年のオークス馬アドラーブル。血統面の裏付けもあるだけに、アッといわせてるシーンがあっても不思議はない。